昨日までは「短時間正社員制度」の概要についてお伝えしました。

今日は「短時間正社員制度」の導入のポイントをお伝えします。

本日の内容も、厚生労働省「短時間正社員制度~導入・運用支援マニュアルに記載されているものです。

 

 

STEP1 短時間正社員制度導入の目的を明確化する 

【基本的な考え方】

 短時間正社員制度導入の目的を明確化することで、経営者からの賛同を得やすくなり、企業等の事情に応じた、それぞれが抱える課題の解決に資する制度の設計が可能になります。

 また、フルタイム正社員や非正規雇用労働者の制度理解が促進され、同制度を円滑に運用することができます。

ポイント 

企業等の社員構成や事業戦略・人材活用戦略等を踏まえて、企業等の現状及び将来の課題を検討する。

留意点  

 制度導入の目的を限定し過ぎると、特定の社員しか制度を利用できなくなるため、周囲の社員が制度利用を身近なものと捉えられず、制度に関心を持てないことや、制度利用者を特別視して積極的な協力が得られないこと等が懸念されます。

 制度導入の目的を検討する際には、社員の年齢構成や希望等を踏まえて、どのような場合に制度を利用可能とするか検討しましょう。

 

 

STEP2 短時間正社員に期待する仕事内容と仕事量を検討する  

基本的な考え方  

企業等は、短時間正社員に期待する仕事内容(「職務の内容」とその職務に伴う「責任の程度」)と仕事量を設定することが求められます

ポイント    

・短時間正社員の担当する仕事内容(「職務の内容」とその職務に伴う「責任の程度」)がフルタイム正社員と同様か。

・仕事内容が短時間正社員の希望や円滑なキャリア形成等を考慮したものとなっているか。   

・フルタイム正社員・短時間正社員が担当する仕事内容と非正規雇用労働者が担当する仕事内容の異同やその詳細を整理しているか。

・短時間正社員の労働時間の短縮を考慮して仕事量を調整しているか。

留意点 

企業等は、待遇差の内容やその理由を説明できるように、フルタイム正社員・短時間正社員が担当する仕事内容とパートタイム労働者・有期雇用労働者の仕事内容の異同やその理由を整理することが必要になります。

・フルタイム正社員・短時間正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で、①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲が同じ場合には、パートタイム労働者・有期雇用労働者であることを理由とした差別的取扱いが禁止され、「均等待遇」の確保を図ることが求められます。

・①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲のいずれかが異なる場合や、両方異なる場合は「均衡待遇」の確保を図ることが求められ、①と②の違いに加えて「③その他の事情」を考慮して、両者の待遇間の不合理な待遇差を解消することが求められます。

 

 

STEP3 短時間正社員制度の設計(適用事由、適用期間、労働時間)について検討する

基本的な考え方  

社員が状況に応じて短時間正社員制度を利用できるよう、適用事由、適用期間、労働時間を設定しましょう。

ポイント  

・適用事由や短時間正社員の状況に応じて柔軟に適用期間を定める。 

・早朝勤務、夜間勤務や休日勤務等の担当の有無も踏まえて、始業・終業時間を決める。

留意点 

 留意点育児のための短時間正社員制度においては、育児・介護休業法で定められている内容を満たしているか留意する必要があります(育児・介護休業法については、以前のブログをご確認ください)。

 

 

STEP4 短時間正社員の処遇(賃金、人事評価、教育訓練)について検討する

①賃金ポイント 

・月例給与のうち、基本給は、同じ仕事内容(「職務の内容」とその職務に伴う「責任の程度」)を担当するフルタイム正社員への支給額をもとに、労働時間に比例して減額することを検討する。

・その他の諸手当は、手当の趣旨や支給基準を踏まえ、短時間正社員に対する支給額を検討する。 

・賞与は、フルタイム正社員と同じ基準で支給する。

・退職金の算定に当たり勤続年数を考慮する場合は、原則として、制度適用期間中の勤続年数も通算する。

②人事評価ポイント 

・正社員としての役割を踏まえて、目標を設定する。  

・目標の「量」は労働時間に合わせて減らし、「質」は変えない。 

・フルタイム正社員と同じ評価項目・基準を用いて評価する。

・昇進・昇格は、労働時間に関係なく、フルタイム正社員と同様に公正に決定する。

③教育訓練ポイント 

・同じ職種・職位のフルタイム正社員がいる場合は、同等の教育訓練機会を付与する。 

・研修等を実施する場合は、短時間正社員の労働時間の範囲で時間設定を行う等配慮する。

 

 

STEP5 フルタイム正社員・短時間正社員間の転換、 非正規雇用労働者から短時間正社員への転換について検討する

基本的な考え方 

 雇用管理区分間の転換・転換基準として以下の①~⑥について定め、就業規則等に明記します。

 また、多くの社員に制度を活用してもらうため、当該制度を広く周知することも必要とされます。

転換対象者 

転換可能なパターン 

転換時期  

転換回数  

転換に当たっての条件  

転換後の格付け(転換後の社員の等級、処遇)

 

 

STEP 短時間正社員制度を導入し、周知する  

 短時間正社員制度を円滑に運用するためには、制度導入の際に、職場全体に制度を周知し、社員に十分理解してもらうことが重要です。

 制度対象者や利用者だけではなく、管理職(現場責任者)やフルタイム正社員、非正規雇用労働者の理解を促進できるよう、以下の内容を周知します。

●制度対象者・利用者  

制度導入の目的  

制度内容

利用に当たっての留意点 

・キャリア形成について考える必要性 

・働き方の効率化 

・管理職(現場責任者)や周囲の社員との積極的なコミュニケーション  

制度利用の際の事務手続き

●管理職(現場責任者) 

制度導入の目的  

制度内容  

マネジメント上の留意点  

・仕事の効率化 

・適正な仕事配分 

・適正な人事評価  

制度利用の際の事務手続き

●フルタイム正社員、非正規雇用労働者  

制度導入の目的  

制度内容

 

 

短時間正社員制度の運用のポイント

①適正な仕事配分に向けた取組   

・職場全体で、仕事内容(「職務の内容」とその職務に伴う「責任の程度」)や仕事の進め方を見直すことで効率化を図る。

・短時間正社員、フルタイム正社員、非正規雇用労働者等の担当する仕事内容を整理し、配分する。

・円滑に仕事を進められているかどうか、一部の社員に仕事の配分が偏っていないか等を定期的に確認する。適正な仕事配分ができずに支障が生じている場合は仕事の配分を見直す。

②多様な働き方を認め合える職場作り  

・フルタイム正社員への復帰を前提とする場合も、短時間正社員のままで継続就業する場合も、本人の希望に応じてスキルアップやキャリアアップを目指せるように、将来のキャリアを意識した仕事へのチャレンジの機会を設けるよう、人事担当者や管理職(現場責任者)が配慮する。

・フルタイム正社員を含む全社員が、短時間正社員制度の趣旨を理解し、職場全体でサポートし合えるような環境を整備するために、制度の内容を全社員に周知し、理解と協力を求める。

・短時間正社員制度の運用と並行して、社員同士が気軽に相談でき、互いに支え合えるような職場環境を整備する。

③顧客先への理解促進  

 状況に応じて、人事担当者や管理職(現場責任者)が、顧客先等に対して「短時間正社員制度を導入していること」、「職場のサポート体制があるため、提供するサービスの質が低下することはないこと」等を説明する。

 

 以上、2日間にわたり「短時間正社員制度」を、また8日間にわたり「短時間労働者」をテーマにお伝えしました。

明日からは「長時間労働」についてお伝えします。

 

 

 

今日のポイント

「フルタイム正社員」や「非正規雇用労働者」との業務・待遇などのバランスを踏まえながら、「短時間労働者制度」の導入を丁寧に進めていこう!