昨日は「同一労働同一賃金」についてお伝えしましたが、今日と明日の2日間で「短時間労働者」に関する助成金についてお伝えします。

 今日は、キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」です。

 

 

キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」とは?

 雇用する有期雇用労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長または週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに処遇の改善を図り、当該措置により当該有期雇用労働者等を新たに社会保険の被保険者とした場合に助成します。

 

 

支給対象となる事業主等の要件 

 まず助成金の根幹たる「キャリアアップ助成金」の要件に事業主等が該当するかどうかを確認し、次に「短時間労働者労働時間延長コース」の要件に事業主等が該当するかどうかを確認していきましょう。

 

キャリアアップ助成金の事業主の要件  

 雇用保険適用事業所の事業主であり、次の(1)~(4)の要件のすべてに該当することが必要です。

(1)雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること

(2)雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること

※ただし「キャリアアップ計画書」の内容(実施するコース)に講じる措置として記載していないにもかかわらず、取組実施日の前日までに「キャリアアップ計画書(変更届)」を提出していない事業主ではないこと

(3)該当するコースの措置に係る対象労働者に対する労働条件、勤務状況及び賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主であること。

(4)キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

 

 ここで補足ですが、「キャリアアップ管理者」とは、有期雇用労働者等のキャリアアップに取り組む者として必要な知識および経験を有していると認められる者をいいます。

 また「キャリアアップ計画」とは、有期雇用労働者などのキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、今後のおおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取り組み)をあらかじめ記載するものです。

 

短時間労働者労働時間延長コースの事業主の要件 

 次の(1)~(5)のすべての要件に該当する者です。

(1)雇用する有期雇用労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長したまたは週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに基本給の増額を図った事業主であること。

(2)上記(1)により週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者となった労働者を、延長後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して延長後の処遇適用後6か月分の賃金を支給した事業主であること。

(3)新たに社会保険の被保険者となった有期雇用労働者等について、基本給及び定額で支給されている諸手当を新たに社会保険の被保険者となる前と比べて減額していない事業主であること。

(4)上記(1)により週所定労働時間を延長した日以降の全ての期間について、当該労働者を雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主であること。

(5)上記(1)により週所定労働時間を延長した際に、週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主であること。

 

 

対象となる労働者 

次の(1)~(5)のすべての要件に該当する者です。

(1)週所定労働時間を延長した後、6か月以上の期間継続して支給対象事業主に雇用される有期雇用労働者等であること。

(2)次の①~⑤までのいずれかに該当する労働者であること

週所定労働時間を5時間以上延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者

週所定労働時間を1時間以上2時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて13%以上昇給している者

週所定労働時間を2時間以上3時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて8%以上昇給している者

週所定労働時間を3時間以上4時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて3%以上昇給している者

週所定労働時間を4時間以上5時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて2%以上昇給している者

(3)週所定労働時間を延長した日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であって、かつ支給対象事業主の事業所において過去2年以内に社会保険に加入していなかった者であること。

(4)週所定労働時間の延長を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること。

(5)支給申請日において離職していない者であること。

 

 

支給額  

(1)短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合

1人当たり22万5,000円(生産性要件を満たした場合;28万4,000円)

⇒ただし「大企業」の場合は、16万9,000円(生産性要件を満たした場合:21万3,000円)

 

(2)労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険に適用させた場合

①1時間以上2時間未満:1人当たり 45,000円 (生産性要件を満たした場合:57,000円)

⇒ただし「大企業」の場合は、34,000円 (生産性要件を満たした場合:43,000円)

②2時間以上3時間未満:1人当たり 90,000円(生産性要件を満たした場合:11万4,000円)

⇒ただし「大企業」の場合は、68,000円 (生産性要件を満たした場合:86,000円)

③3時間以上4時間未満:1人当たり13万5,000円 (生産性要件を満たした場合:17万円)

⇒ただし「大企業」の場合は、10万1,000円(生産性要件を満たした場合:12万8,000円)

④4時間以上5時間未満:1人当たり 18万円(生産性要件を満たした場合:22万7,000円)

⇒ただし「大企業」の場合は、13万5,000円 (生産性要件を満たした場合:17万円)

 

【留意事項】

※延長後6か月の週所定労働時間と延長前6か月の週当たりの平均実労働時間の差が5時間以上である場合に加え、延長前後の6か月の週所定労働時間の差か5時間以上であって、延長前後の平均労働時間の差が5時間以上である場合も含みます。(1時間以上5時間未満延長である場合も同様です。)

※(1)については令和4年9月30日までの間、支給額を増額しています。

※(2)については延長時間数に応じて以下のとおり延長時に基本給を昇給することで、手取り収入が減少していないと判断します。

①1時間以上2時間未満:13%以上昇給

②2時間以上3時間未満:8%以上昇給

③3時間以上4時間未満:3%以上昇給

④4時間以上5時間未満:2%以上昇給

※(2)については令和4年9月30日までの暫定措置となります。

 

 

手続きの流れ  

次の(1)~(3)の順に手続きし、審査を経た上で、受給決定されます。

(1)キャリアアップ計画の作成・提出(週所定労働時間を延長する前日までに提出)  

(2)週所定労働時間延長を実施  

(3)延長後6か月分の賃金を支給・支給申請(延長後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請)

 

 以上、キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」についてでした。

 明日は、キャリアアップ助成金「各種コース」をお伝えします。

 

 

今日のポイント

短時間労働者が労働時間延長を希望した際には、キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」の活用を検討してみよう!