副業・兼業に関する2つの労働時間管理の方法

 昨日は「副業・兼業に関する基本的内容」をお伝えしました。今日は「副業・兼業に関する労働時間管理の方法」です。

  昨日に引き続き、厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」に基づきご紹介します。

 

 ガイドラインの中では「所定労働時間の通算(原則的な労働時間管理の方法)」「管理モデルの導入(簡便な労働時間管理の方法)」の2つの方法が示されています。

 早速、確認していきましょう!

 

方法1 所定労働時間の通算(原則的な労働時間管理の方法)

 自社の所定労働時間と副業・兼業先の所定労働時間を通算し、時間外労働となる部分があるかを確認する方法です。

   所定労働時間を通算した結果、自社の労働時間制度における法定労働時間を超える部分がある場合は、その超えた部分が時間外労働となり、時間的に後から労働契約を締結した企業が自社の36協定で定めるところによってその時間外労働を行わせることになります。

 

留意点 

副業・兼業の開始後は、自社の所定外労働時間と副業・兼業先における所定外労働時間とを当該所定外労働が行われる順に通算します。

自社と副業・兼業先のいずれかで所定外労働が発生しない場合の取扱いは、以下のとおりです。 

・ 自社で所定外労働がない場合は、所定外労働時間の通算は不要

・ 自社で所定外労働があるが、副業・兼業先で所定外労働がない場合は、自社の所定外労働時間のみ通算する

通算した結果、自社の労働時間制度における法定労働時間を超える部分がある場合は、その超えた部分が時間外労働となり、そのうち自ら労働させた時間について、自社の36協定の延長時間の範囲内とする必要があるとともに、割増賃金を支払う必要があります。

 

次の具体例で確認していきます。

 

具体例

(具体例

企業A(時間的に「先」に労働契約を締結):所定労働時間1日5時間(7:00~12:00)  

企業B(時間的に「後」に労働契約を締結):所定労働時間1日4時間(14:00~18:00)

→「企業B」に、法定時間外労働が1時間発生します。(5時間+4時間ー8時間=1時間)

 

(具体例

企業A(時間的に「先」に労働契約を締結):所定労働時間1日5時間(14:00~19:00)  

企業B(時間的に「後」に労働契約を締結):所定労働時間1日4時間(8:00~12:00)

→「企業B」に、法定時間外労働が1時間発生します。(5時間+4時間ー8時間=1時間)

 

(具体例

企業A(時間的に「先」に労働契約を締結):所定労働時間1日3時間(7:00~10:00)、 当日発生した所定外労働2時間(10:00~12:00)

企業B(時間的に「後」に労働契約を締結):所定労働時間1日3時間(15:00~18:00)、当日発生した所定外労働1時間(18:00~19:00)

→企業Bで行う1時間の所定外労働(18:00~19:00)は法定時間外労働となり、企業Bにおける36協定で定めるところにより行うこととなります。企業Bはその1時間について割増賃金を支払う必要があります。

 

(具体例

企業A(時間的に「先」に労働契約を締結):所定労働時間1日3時間(14:00~17:00)、当日発生した所定外労働2時間(17:00~19:00)

企業B:所定労働時間1日3時間(7:00~10:00)、当日発生した所定外労働1時間(10:00~11:00)

→企業Aで行う1時間の所定外労働(18:00~19:00)は法定時間外労働となり、企業Aにおける36協定で定めるところにより行うこととなります。企業Aはその1時間について割増賃金を支払う必要があります。

 

方法2 管理モデルの導入(簡便な労働時間管理の方法)

 副業・兼業を行う労働者に管理モデルにより副業・兼業を行うことを求め、労働者と労働者を通じて副業・兼業先がそれに応じることによって導入されることが想定された方法です。

 

管理モデルとは?

 副業・兼業の日数が多い場合や、自社と副業・兼業先の双方で所定外労働がある場合などにおいては、労働時間の申告等や労働時間の通算管理において、労使双方の手続上の負荷が高くなることが考えられます。

 管理モデルは、そのような場合において、労使双方の手続上の負荷を軽くしながら、労働基準法に定める最低労働条件が遵守されやすくなる方法で、具体的な方法は以下の①~③のとおりです。

 

副業・兼業の開始前に、

(A)当該副業・兼業を行う労働者と時間的に先に労働契約を締結していた使用者(以下「使用者A」といいます。)の事業場における法定外労働時間

(B)時間的に後から労働契約を締結した使用者(以下「使用者B」といいます。)の事業場における労働時間(所定労働時間及び所定外労働時間)

を合計した時間数が時間外労働の上限規制である単月100時間未満、複数月平均80時間以内となる範囲内において、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定する。

 

副業・兼業の開始後は、各々の使用者が①で設定した労働時間の上限の範囲内で労働させる。

 

使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間の労働について、使用者Bは自らの事業場における労働時間の労働について、それぞれ自らの事業場における36協定の延長時間の範囲内とし、割増賃金を支払う。

 

 

今日のポイント

それぞれの使用者だけでなく、労働者自身も「副業・兼業に関する労働時間管理の方法」を理解しておこう!