昨日は「1か月単位の変形労働時間制」についてお伝えしましたが、本日は「フレックスタイム制」についてお伝えします。

 

「フレックスタイム制」とは?

 フレックスタイム制とは「1か月以内の一定期間(清算期間)における総労働時間をあらかじめ定めておき、労働者はその枠内で各日の始業及び終業の時刻を自主的に決定し働く制度で、労働者がその生活と業務の調和を図りながら、効率的に働くことができ、労働時間を短縮しようとするもの」です。

 

「コアタイム」と「フレキシブルタイム」

 フレックスタイム制を理解する上でのポイントは、「コアタイム」と「フレキシブルタイム」の理解です。

 両者とも必ず設けなければならないものではありませんが、「フレックスタイム制」の枠組みを理解する上でのポイントとなります。

 

「コアタイム」

必ず勤務すべき時間帯のこと。

 

「フレキシブルタイム」

その時間帯の中であればいつ出社または退社してもよい時間帯を設け、出社、退社の時刻を労働者の決定に委ねるものです。

⇒コアタイムがほとんどでフレキシブルタイムが極端に短い場合などには、基本的に始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねたことにはならず、フレックスタイム制とはみなされないとされています。

 

 「フレックスタイム制」を導入するには、「始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねること」でなければなりません。

 始業時刻が決められていて、終業時刻のみ労働者の決定に委ねるものは「フレックスタイム制」には当たりません

 

 例えば「フレキシブルタイム」を午前9時~午前11時までに設定すれば、その時間内であれば、いつ出社しても良いということです。

 そして「コアタイム」を休憩込みで午前11時~午後4時に設定し、さらに退勤の「フレキシブルタイム」を午後4時~午後6時に設定すれば、その時間内であれば、いつ退勤しても良いということです。

 

労使協定により「フレックスタイム制」で定める事項

 なお、「フレックスタイム制」を導入するには「労使協定を締結」かつ「就業規則での定め」が必要です。

 昨日紹介しました「1か月単位の変形労働時間制」のいずれか一方で良いこととは異なります。

 

①対象となる労働者の範囲  

⇒例えば「全従業員」「企画部職員」としたり、「Aさん、Bさん、・・・」とすることも構わないとされています。

②清算期間 

「清算期間」とは『フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を定める期間のこと』です。

上限期間は「3か月」です。なお、清算期間が1か月を超える場合には、労働基準監督署へ労使協定の届出が必要です。

③清算期間における総労働時間 

「清算期間における法定労働時間」とは、『労働契約上、労働者が清算期間において労働すべき時間として定められた時間であり、いわゆる所定労働時間のこと』です。

⇒清算期間における総労働時間を定めるに当たっては、「清算期間における総労働時間=40時間(特例対象事業は44時間)×対象期間の歴日数÷7」によって算出された法定労働時間の総枠の範囲内としなければなりません。

④標準となる1⽇の労働時間 

⇒標準となる1⽇の労働時間とは、年次有給休暇を取得した際に⽀払われる賃⾦の算定基礎となる労働時間の⻑さを定めるものです。この時間は、清算期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内となるように定める必要があります。

⑤コアタイム(任意)  

⑥フレキシブルタイム(任意)

 

「フレックスタイム制」により、労働時間に過不足が生じた場合

 以下の①②の場合についての対応です。

 なおこちらについては、とても分かりにくいと思いますので、図を用いて説明をしている、厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」のリーフレットも併せてご覧ください。

 

①「清算期間における実際の労働時間」に過剰があった場合(「実労働時間」が「清算期間における総労働時間」を超える場合)

 総労働時間として定められた時間分はその期間の賃金支払日に支払いますが、それを超えて働いた時間分を次の清算期間中の総労働時間の一部に充当することは、その清算期間内における労働の対価の一部がその期間の賃金支払日に支払われないこととなり、労働基準法第24条に違反し許されません。

 したがって、清算期間における実際の労働時間に過剰があった場合、その過剰分はその清算期間内で清算しなければなりません

 

②「清算期間における実際の労働時間」に不足があった場合(「実労働時間」が「清算期間における総労働時間」を超えない場合)

総労働時間として定められた時間分の賃金はその期間の賃金支払日に支払いますが、それに達しない時間分(不足分)を加えた翌月の総労働時間が法定労働時間の総枠の範囲内である限り、「不足分を翌月に繰り越して清算する方法」または「不足分に相当する賃金をカットして支払う方法」があります。

 

「フレックスタイム制」における時間外労働

「原則」及び清算期間が1か月を超える場合」の内容です。

 

原則 

「フレックスタイム制」を採用した場合に時間外労働となるのは「清算期間における法定労働時間の総枠」です。

(留意点)

●「清算期間における法定労働時間の総枠」は、次の式により算出されます

⇒清算期間における法定労働時間の総枠=40時間(特例対象事業は44時間)×清算期間の歴日数÷7

●フレックスタイム制を採⽤した場合には、清算期間における総労働時間の範囲内で、⽇ごとの労働時間については労働者自らの決定に委ねられます。

⇒したがって、フレックスタイム制においては、清算期間を単位として時間外労働を判断することになるので、36協定において「1⽇」の延⻑時間について協定する必要はなく、「1か⽉」「1年」の延⻑時間を協定します。

 

清算期間が1か月を超える場合

 清算期間が1か月を超える場合は、その清算期間について「①1か月ごとの労働時間が、週平均50時間を超えないこと」かつ「②清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えないこと」の2つの要件を満たす必要があります。

 これは、繁忙月に偏った労働時間とすることを防止するためです。

 その上で、清算期間が1か月を超える場合には「①1か月ごとに、週平均50時間を超えた労働時間」「②清算期間を通じて、法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(※①でカウントした労働時間を除く)」が時間外労働としてカウントされます。

 

 以上「フレックスタイム制」でした。明日は「1年単位の変形労働時間制」についてお伝えします。

 

 

今日のポイント

「ワークライフバランス」を推奨するのであれば「フレックスタイム制」の導入を検討してみよう!