昨日までは「みなし労働時間制」をご紹介しましたが、本日は「高度プロフェッショナル制度」通称『高プロ』をご紹介します。

「高度プロフェッショナル制度」とは?

 ⾼度プロフェッショナル制度は「⾼度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で⼀定の年収要件を満たす労働者を対象として、労使委員会の決議及び労働者本⼈の同意を前提として、年間104⽇以上の休⽇確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休⽇及び深夜の割増賃⾦に関する規定を適⽤しない制度」です。

分かりにくいと思いますので、後ほど「労使委員会」で決議すべき項目でご紹介します。

高度プロフェッショナル制度の導入手順  

 次の①~⑥の手順となります。

労使委員会の設置(労使委員会の内容は、昨日のブログをご覧ください)   

労使委員会で決議(決議事項は次項目参照。委員の五分の四以上の多数による議決されます。)  

決議を労働基準監督署⻑に届け出る

対象労働者の同意を書面で得る   

対象労働者を対象業務に就かせる   

決議の有効期間の満了(継続の場合は、再度②の労使委員会の決議が必要です)

 

 ポイントとして、決議するのは、昨日紹介しました「企画業務型裁量労働制」と同様に『労使委員会』です。

 

労使委員会」で決議すべき項目

次の(1)~(10)の内容です。

「労使委員会」の委員の五分の四以上の多数により議決されます。「高度プロフェッショナル制度」の導入要件とも言えます。

 

(1)対象業務 

 以下の①~⑤の業務が該当します。

⾦融⼯学等の知識を用いて⾏う⾦融商品の開発の業務  

⾦融知識等を活⽤した自らの投資判断に基づく資産運⽤の業務⼜は有価証券の売買その他の取引の業務

有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務

顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務  

新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務

 

※なお、上記①~⑤に該当する場合でも、次の留意点があります。

・対象業務に従事する時間に関し使⽤者から具体的な指示を受けて⾏うものは含まれません。  

・部署が所掌する業務全体ではなく、対象となる労働者に従事させることとする業務が対象です。

・使⽤者は、時間に関し具体的な指示を⾏わないことをもって、安全配慮義務を免れるものではありません。

 

(2)対象労働者の範囲 

以下の①及び②の要件を満たす必要があります。

使用者との間の合意に基づき職務が明確に定められていること  

使用者から⽀払われると⾒込まれる賃⾦額が基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る⽔準として厚⽣労働省令で定める額以上であること

 

(3)健康管理時間の把握 

 対象労働者の健康管理時間を把握する措置を使用者が実施すること及び当該事業場における健康管理時間(決議により健康管理時間から除くこととした時間を含む。)の把握方法を決議で明らかにする必要があります。

「健康管理時間」:対象労働者が事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間との合計の時間

 

(4)休日の確保 

対象労働者に年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えなければなりません

 

(5)選択的措置 

次の①~④のいずれかに該当する措置を決議で定め、実施しなければなりません。

勤務間インターバルの確保(11時間以上)+深夜業の回数制限(1か月に4回以内)  

健康管理時間の上限措置(1週間当たり40時間を超えた時間について、1か月について100時間以内又は3か月について240時間以内とすること)

1年に1回以上の連続2週間の休日を与えること(本⼈が請求した場合は連続1週間×2回以上)  

臨時の健康診断(1週間当たり40時間を超えた健康管理時間が1か月当たり80時間を超えた労働者又は申出があった労働者が対象)

 

(6)健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置 

次の①~⑥の措置のうちから決議で定め、実施しなければなりません。

「決議事項5の選択的措置」のいずれかの措置(上記(5)において決議で定めたもの以外)  

医師による⾯接指導  

代償休日又は特別な休暇の付与

心とからだの健康問題についての相談窓口の設置  

適切な部署への配置転換   

産業医等による助言指導又は保健指導

 

(7)同意の撤回に関する手続  

撤回の申出先となる部署及び担当者、撤回の申出の⽅法等その具体的内容を明らかにする必要があります。

 

(8)苦情処理措置  

苦情の申出先となる部署及び担当者、取り扱う苦情の範囲、処理の⼿順、⽅法等その具体的内容を明らかにする必要があります。

 

(9)不利益取扱いの禁止  

同意をしなかった労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことを決議しなければなりません。

 

(10)その他厚生労働省令で定める事項  

決議の有効期間の定め及び当該決議は再度決議をしない限り更新されないこと。  

労使委員会の開催頻度及び開催時期  

常時50⼈未満の事業場である場合には、労働者の健康管理等を⾏うのに必要な知識を有する医師を選任すること。

労働者の同意及びその撤回、合意に基づき定められた職務の内容、⽀払われると⾒込まれる賃⾦の額、健康管理時間の状況、休日確保措置、選択的措置、健康・福祉確保措置及び苦情処理措置の実施状況に関する対象労働者ごとの記録並びに③の選任に関する記録を①の決議の有効期間中及びその満了後3年間保存すること。

 

 「高度プロフェッショナル制度」は、働く⽅の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き⽅をする上での1つの大きな選択肢が増えたと言えます。

 一方で、労働基準法に定められた「労働時間」「休憩」「休⽇」及び「深夜の割増賃⾦」に関する規定を適⽤しない制度ですので、労働基準法の原則の適用までをも除外とした内容であり、使用者・対象労働者双方の深い理解が必要です。

 だからこそ「労使委員会」の決議すべき事項として、10項目もの細かい内容が明記されています。

 

以上「高度プロフェッショナル制度」についてでした。

明日からは「変形労働時間制」についてお伝えします。

 

 

今日のポイント

高度プロフェッショナル制度」を導入する場合は「労使委員会」を通じた十分な検討が必要!