昨日までは「労働時間の基本」についてお伝えしましたが、今日からは「みなし労働時間制」についてお伝えします。

 本日は「事業場外労働に関するみなし労働時間制」です。

 

「事業場外労働に関するみなし労働時間制」とは?

 「労働者が業務の全部又は一部を事業場外で従事し、使用者の指揮監督が及ばないために、当該業務に係る労働時間の算定が困難な場合に、使用者のその労働時間に係る算定義務を免除し、その事業場外労働については『特定の時間』を労働したとみなすことのできる制度」です。

 

紐解いて確認していきますと、

①労働者が業務の全部又は一部を事業場外で従事する

⇒そのために・・・

②使用者の指揮監督が及んでいない

⇒だから・・・

③当該業務に係る労働時間の算定が困難

⇒その要件を満たしたとき・・

「使用者のその労働時間に係る算定義務を免除」され「その事業場外労働については『特定の時間』を労働したとみなすことのできる」ということです。

 

 分かりやすい例で言えば「出張」「テレワーク」などです。

 ただし、業務の性質などにより、次のような『みなされない」場合もあります。

 

「事業場外労働に関するみなし労働時間制」とみなされない場合

 上記の内容に照らし、以下の①~③のような場合には、事業場外労働とは『みなされない』とされています。

何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合

携帯電話等によって随時使用者の指示を受けながら事業場外で労働している場合

事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後、事業場に戻る場合

 

「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の算定方法

まず、事業場外労働について、労働したとみなすことのできる時間として算定される場合は、次の①~③の時間があります。

 所定労働時間

 事業場外の業務を遂行するために、通常所定労働時間を超えて労働することが必要である場合には、その業務の遂行に通常必要とされる時間

 ②の場合であって、②の「その業務の遂行に通常必要とされる時間」にあたる時間を労使で協定したとき

 

(具体例)

なお、②の「その業務の遂行に通常必要とされる時間」は、以下「通常必要時間」とします。

 

例1 労働日の労働時間の全部が労働時間の算定困難な事業場外労働である場合の1日の労働時間の算定

「所定労働時間」が7時間、「通常必要時間」が6時間の場合(「所定労働時間」が「通常必要時間」以上の場合)

⇒所定労働時間の「7時間」として算定します(上記①)。

「所定労働時間」が7時間、「通常必要時間」が8時間の場合(「通常必要時間」が「所定労働時間」を超える場合)

⇒通常必要時間の「8時間」として算定します(上記②③)。

 

例2 労働日の労働時間の一部が労働時間の算定困難な事業場外労働である場合の1日の労働時間の算定

「所定労働時間」が7時間、「通常必要時間」が5時間+「事業場『内』労働時間」が1時間の場合(「所定労働時間」が「通常必要時間+事業場内労働」以上の場合)

⇒所定労働時間の「7時間」として算定します(上記①)。

「所定労働時間」が7時間、「通常必要時間」が7時間+「事業場『内』労働時間」が1時間の場合

⇒通常必要時間+事業場内の「8時間」として算定します(上記②③)。

 

「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の労使協定

 事業場外の業務であって労働時間の算定が困難であり、通常所定労働時間を超えて労働することが必要である場合には、通常必要時間を労使協定により定めることができます(上記③)。

 

 さらに紐解いてお伝えしますと、協定で定める事業場外のみなし時間が法定労働時間(1日8時間)を超える場合は、労使協定を様式第12号により所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります

 逆に、協定で定める事業場外のみなし時間が8時間以下の場合には届出は不要です。

 

 なお、労使協定に締結する事項は「対象とする業務」「みなし労働時間」「有効期間」です。

 

 

 以上「事業場外労働に関するみなし労働時間制」でした。

 なお、この内容については、最近推進されている「テレワーク」の基礎となる部分ですが、「テレワーク」に関わる内容については、後日ブログで詳細にお伝えします。

 まずは「みなし労働時間制」の1つとして『事業場外労働に関するみなし労働時間制』の内容を知っていただければと思います。

 

 

今日のポイント

「事業場外労働に関するみなし労働時間制」要件⇒事業場外労働』『使用者の指揮監督が及ばない』『労働時間算定困難