昨日まで「障害者の就労支援」についてお伝えしました。

今日から6月の残り3日間は「障害者雇用の動向」として、1カ月の内容をまとめていきます。

本日は「農福連携」についてです。

 

「農福連携」とは?

 農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組です。

 

 年々高齢化している農業現場での貴重な働き手となることや、障害者の生活の質の向上等が期待されています。

 主管となるのは農林水産省となり、厚生労働省・法務省・文部科学省とともに事業を展開しています。

 

 実際の経営者は、民間企業・農業法人・社会福祉法人・NPO法人などさまざまで「農福連携支援事業(作業手順の図化・マニュアル作成など)」「農福連携整備事業(農林水産物生産施設又はそれらの附帯施設の整備など)」を実施することで、国から補助金が交付されます。

 

「農福連携」推進の経過

 政府が定めた「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月 閣議決定)では、障害者等が、希望や能力、障害の特性等に応じて最大限活躍できる環境を整備するため、農福連携の推進が盛り込まれています

 また、平成31年4月に、農福連携の全国的な機運醸成を図り、今後強力に推進していく方策を検討するため、省庁横断の会議として「農福連携等推進会議」が設置され、令和元年6月には、取組の方向性を示した「農福連携等推進ビジョン」がとりまとめられました。

 

「農福連携等推進ビジョン」の3つのアクション

 「農福連携」について『知られていない』『踏み出しにくい』『広がっていかない』の現状・課題に対し、以下の3つのアクションを掲げています。

1 認知度の向上  

「優良事例をとりまとめ、各地の様々な取組内容を分かりやすく情報発信」「農福連携で生産された商品の消費者向けキャンペーン等のPR活動」など

農福連携事例集 (令和2年12月公表)をはじめ、農林水産省「農福連携」ホームページで数多くの事例が紹介されています。

⇒全国で農福連携に取り組んでいる団体・企業や個⼈を募集し、農福連携の優れた取組を ノウフク・アワード2020として表彰。

 

2取組の促進   

①農福連携に取り組む機会の拡大  

ワンストップで相談できる窓口体制の整備、農業分野における公的職業訓練の推進など

⇒「相談窓口」については、農業分野における障害者就労を促進するため、行政、福祉、農業等の関係者で構成するネットワークを開設・運営しています(各地域の窓口はこちら

②ニーズをつなぐマッチングの仕組み等の構築  

ハローワーク等関係者における連携強化を通じた農業分野での障害者雇用の推進など

③障害者が働きやすい環境の整備と専門人材の育成  

全国共通の枠組みとして農業版ジョブコーチの仕組みの構築、障害者就労施設等における工賃・賃金向上の支援の強化など

⇒令和2年度から、農業者・就労系障害福祉サービス事業所の職業指導員等・障害者本人の三者に対し、農福連携を現場で実践する手法を具体的にアドバイスできる人材「農福連携技術支援者」(いわゆる「農業版ジョブコーチ」)の育成を本格的に開始しています。

④農福連携に取り組む経営の発展 

農福連携の特色を生かした6次産業化の推進、障害者就労施設等への経営指導など

⇒「6次産業化」とは、農林漁業者(1次産業)が、農産物などの生産物の元々持っている価値をさらに高め、それにより、農林漁業者の所得(収入)を向上していくことです。

 

3 取組の輪の拡大 

各界関係者が参加するコンソーシアムの設置、障害者優先調達推進法の推進とともに、関係団体等による農福連携の横展開等の推進への期待など

⇒国・地方公共団体、関係団体等はもとより、経済界や消費者、更には学識経験者等の様々な関係者を巻き込んだ国民的運動として農福連携等を展開していくため、各界の関係者が参加し、農福連携等を応援するコンソーシアムを設置するとしています。

 

農福連携に取り組んだ効果

農林⽔産省調査(平成31年3⽉)において、次のような効果があったとされています。

【農業経営体】

・76%が「障害者を受け⼊れて貴重な⼈材となった」と認識  

・57%が「労働⼒確保で営業等の時間が増加」と認識  

・78%が5年前と⽐較して年間売上が増加

【障害者就労施設】

・79%が「利⽤者が体⼒がついて⻑い時間働けるようになった」と回答 

・62%が「利⽤者の表情が明るくなった」と回答 

・74%が過去5年間の賃⾦・⼯賃が増加

 

 「農福連携」は、障害者が農業分野での活躍を通じ、⾃信や⽣きがいを持って社会参画を実現していく取組です

 そして、その取組は、障害者の就労や⽣きがい等の場の創出となるだけでなく、農業就業⼈⼝の減少や⾼齢化が進む農業分野において、新たな働き⼿の確保につながるものとされています。

 

 「農福連携」はまだまだ知られていないかもしれませんが、今後「農福連携に取り組んでいる地域の農産物」及び「ノウフクJAS商品(障害者が携わって⽣産した農林⽔産物及びこれらを原材料とした加⼯⾷品の⽣産⽅法及び表⽰の基準を規格化したもの)」の販売などにより、徐々に周知されていくと思います。

 ぜひ注目してください!

 

 

今日のポイント

「農福連携」は、人手不足の農業と、障害者の就業機会を求める福祉との「WINWIN」の関係