昨日までは「障害者の就労支援」に関わる『雇用施策』の関係機関についてご紹介しました。
今日から4日間は、障害者の就労支援に関わる『福祉施策』などを定めた「障害者総合支援法」についてです。
正式には「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」です。
「障害者総合支援法」の目的
それでは、早速「障害者総合支援法」第1条を確認しましょう。
●障害者総合支援法第1条
(目的)
第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)、知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
それでは紐解いて理解していきます。
①基本的理念とするもの
障害者基本法
②障害者総合支援法と影響し合うもの(相まって)
・身体障害者福祉法
・知的障害者福祉法
・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
・児童福祉法
・その他障害者及び障害児の福祉に関する法律
③方法
障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な「障害福祉サービスに係る給付」「地域生活支援事業その他の支援」を総合的に行う。
④目的
「障害者及び障害児の福祉の増進を図る」とともに、「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与する」こと。
さらにまとめると・・
「障害福祉サービスに係る給付」「地域生活支援事業その他の支援」を総合的に行い、「障害者及び障害児の福祉の増進を図る」「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与する」
つまり「障害者総合支援法」は、目的達成のための方法となる『障害福祉サービスに係る給付』『地域生活支援事業その他の支援』について定められた法律です。
「障害福祉サービス」とは?
次の①~⑮の「障害福祉サービス」があります。
①居宅介護
自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。
②重度訪問介護
重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により、行動上著しい困難を有する人で常に介護を必要とする人に、自宅で、入浴、排せつ、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行います。
③同行援護
視覚障害により、移動に著しい困難を有する人に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)、移動の援護等の外出支援を行います。
④行動援護
自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援や外出支援を行います。
⑤療養介護
医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活の支援を行います。
⑥生活介護
常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排せつ、食事の介護等を行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会を提供します。
⑦短期入所
自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。
⑧重度障害者等包括支援
介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行います。
⑨施設入所支援
施設に入所する人に、夜間や休日、入浴、排せつ、食事の介護等を行います。
⑩自立訓練
自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練を行います。機能訓練と生活訓練があります。
⑪就労移行支援
一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。
⑫就労継続支援
一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。
⑬就労定着支援
通常の事業所に新たに雇用された人に、日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談、指導及び助言その他の必要な支援を行います。
⑭自立生活援助
施設入所支援又は共同生活援助を受けていた人に定期的な巡回訪問、相談などに応じ、必要な情報の提供及び助言その他の厚生労働省令で定める援助を行います。
⑮共同生活援助
共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行います。また、入浴、排せつ、食事の介護等の必要性が認定されている方には介護サービスも提供します。
「地域生活支援事業」とは?
基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことできるよう、住民に最も身近な市町村を中心として実施されます。
具体的には「成年後見制度」「日常生活用具給付等」「移動支援」「地域活動支援センター(創作的活動又は生産活動の機会の提供、社会との交流の促進を行う施設)」などです。
地域の実情に応じた柔軟な事業形態での実施が可能となるよう、自治体の創意工夫により事業の詳細を決定し、効率的・効果的な取り組みを目的としています。
このブログでは「就労移行支援」「就労継続支援」「就労定着支援」をご紹介します。
「障害者総合支援法」及び「障害福祉サービス」などについて掘り下げてお伝えしたいところですが、とてもボリュームがあります。
今月のテーマが「障害者の雇用」ですので、今回は「就労移行支援」「就労継続支援」「就労定着支援」のみお伝えしますのでご承知おきください。
明日はまず最初に「就労継続支援」からお伝えし、明後日に「就労移行支援」「就労定着支援」についてお伝えします。
そして、この3つの支援は「障害者総合福祉法」に基づいた障害福祉サービスであり、今までお伝えした「障害者雇用推進法」に明記があるような雇用施策とは異なり、福祉施策と言えるものですが「雇用施策」と「福祉施策」とが一体的に推進されることが必要です。
【今日のポイント】
障害者総合支援法では、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、就労支援などのサービスが行われる。