昨日は、障害者の就労支援に関わる「ハローワーク」の役割をご紹介しました。
今日は、障害者雇用促進法にも明記がある「地域障害者職業センター」の役割をご紹介します。
「地域障害者職業センター」の役割は?
地域障害者職業センターは、公共職業安定所等の地域の就労支援機関との密接な連携のもと、障害者に対する専門的な職業リハビリテーションを提供する施設として、全国47都道府県(ほか支所5か所)に設置されています(運営は「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」)。
障害者一人ひとりのニーズに応じて、職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職場適応援助等の各種の職業リハビリテーションを実施するとともに、事業主に対して、雇用管理に関する専門的な助言その他の支援を実施しています。
なお「地域障害者職業センター」は、「障害者職業総合センター(職業リハビリテーションにおける調査分析・地域障害者職業センターへの指導助言など)」「広域障害者職業センター(職業評価・職業指導・職業講習の系統的実施など)」とともに障害者雇用促進法で定められています。
役割① 職業評価
就職の希望などを把握した上で、職業能力等を評価し、それらを基に就職して職場に適応するために必要な支援内容・方法等を含む、個人の状況に応じた「職業リハビリテーション計画」を策定します。
役割② 職業準備支援
ハローワークにおける職業紹介、ジョブコーチ(次項目)支援等の就職に向かう次の段階に着実に移行させるため、センター内での作業体験、職業準備講習、社会生活技能訓練を通じて、基本的な労働習慣の体得、作業遂行力や職業能力の向上、コミュニケーション能力・対人対応力の向上を支援しています。
ジョブ・コーチとは?
知的障害者や精神障害者など職場での適応に課題を有する障害者に対して、職場適応援助者(ジョブコーチ)を事業所に派遣し、きめ細かな人的支援を行うことにより、職場での課題を改善し、職場定着を図ります。
1 目的
職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業は、障害者の職場適応に課題がある場合に、職場にジョブコーチが出向いて、障害特性を踏まえた専門的な支援を行い、障害者の職場適応を図ることを目的としています。
2ジョブコーチの種類
①配置型ジョブコーチ
地域障害者職業センターに配置するジョブコーチです。
就職等の困難性の高い障害者を重点的な支援対象として自ら支援を行うほか、訪問型ジョブコーチ及び企業在籍型ジョブコーチと連携し支援を行う場合は、効果的・効率的な支援が行われるよう必要な助言・援助を行います。
②訪問型ジョブコーチ
障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に雇用されるジョブコーチです。
高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する訪問型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める訪問型職場適応援助者養成研修を修了した者であって、必要な相当程度の経験及び能力を有する者が担当します。
③企業在籍型ジョブコーチ
障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチです。
機構が実施する企業在籍型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める企業在籍型職場適応援助者養成研修を修了した者が担当します。
3 ジョブコーチ支援の内容
・ジョブコーチ支援は、対象障害者がその仕事を遂行し、職場に対応するため、具体的な目標を定め、支援計画に基づいて実施されるものです。
・障害者本人に対する職務の遂行や職場内のコミュニケーション等に関する支援だけでなく、事業主に対しても障害特性に配慮した雇用管理等に関する支援を行います。
・ジョブコーチが行う障害者に対する支援は、事業所の上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)にスムーズに移行していくことを目指しています。
詳しくは、厚生労働省チラシ(「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援」を活用しましょう !!)をご覧ください。
役割③ 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業
障害者の円滑な就職及び職場適応を図るため、事業所にジョブコーチを派遣し、障害者及び事業主に対して、雇用の前後を通じて障害特性を踏まえた直接的、専門的な援助を実施します。
役割④ 精神障害者総合雇用支援
精神障害者及び事業主に対して、主治医等の医療関係者との連携の下、精神障害者の新規雇入れ、職場復帰、雇用継続のための様々な支援ニーズに対して、専門的・総合的な支援を実施します。
具体的には、うつ病等の精神障害により休職している方々、その方々の復職を考えている事業主に対して、主治医等と連携し、円滑な職場復帰に向けた支援(リワーク支援)などを実施しています。
復帰後、安定して勤務できるよう、病気や症状との付き合いかた、ストレスのコントロール、疲労のマネジメント等についての知識や対処方法を身に付けてもらうよう支援しています。
また事業主に対しては、必要に応じて、職場復帰時の仕事内容な労働条件等の設定、職場環境の整備、必要な配慮等について、助言・援助を行います。
役割⑤ 事業主に対する相談・援助
事業主に対して、障害者の従事しやすい職務の設計、わかりやすい指導の方法などを、雇入れの段階から定着に至るまで一貫して実施します。
役割⑥ 地域の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する助言・援助等の実施
障害者就業・生活支援センターその他の関係機関や事業主に対し、職業リハビリテーションに関する助言・援助を行うほか、関係機関の職員等の知識・技術等の向上に資するため、マニュアルの作成や研修等を実施します。
以上、「地域障害者職業センター」の役割についてのご紹介でした。
明日は「障害者就業・生活支援センター」をご紹介します。
【今日のポイント】
障害者の方だけでなく、事業主の方も職業リハビリテーションへの高い専門性を有した「地域障害者職業センター」を活用しよう!