昨日は、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等を図るための措置に関して、「合理的配慮」の『合理的配慮の手続』をご紹介しましたが、今日は『合理的配慮の内容』です。

「合理的配慮指針」に明記されている合理的配慮の内容

 合理的配慮とは、次に掲げる措置(次に明記する「2 過重な負担」に当たる措置を除く)であることとされています。

 

募集及び採用時における合理的配慮  

障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するために講ずる障害者の障害の特性に配慮した必要な措置

 

②採用後における合理的配慮

障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために講ずるその障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置

 

※なお、採用後に講ずる合理的配慮は職務の円滑な遂行に必要な措置であることから、例えば、次に掲げる措置が合理的配慮として事業主に求められるものではないこと。

・障害者である労働者の日常生活のために必要である眼鏡や車いす等を提供すること。

・中途障害により、配慮をしても重要な職務遂行に支障を来すことが合理的配慮の手続の過程において判断される場合に、当該職務の遂行を継続させること。ただし、当該職務の遂行を継続させることができない場合には、別の職務に就かせることなど、個々の職場の状況に応じた他の合理的配慮を検討することが必要であること。

 

①②の内容はかなり抽象的な内容かもしれません。

そのため「合理的配慮指針」の中では、以下のようなそれぞれの障害の特性に応じた「合理的配慮の事例」が示されています。

 

~合理的配慮の事例~視覚障害  

募集及び採用時 

・ 募集内容について、音声等で提供すること。 

・ 採用試験について、点字や音声等による実施や、試験時間の延長を行うこと。

採用後 

・ 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。 

・ 拡大文字、音声ソフト等の活用により業務が遂行できるようにすること。 

・ 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。

・ 職場内の机等の配置、危険箇所を事前に確認すること。  

・ 移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置や打合せ場所を工夫する等により職場内での移動の負担を軽減すること。

・ 本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

 

~合理的配慮の事例~聴覚・言語障害  

募集及び採用時 

・面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること 

・面接を筆談等により行うこと。

採用後 

・ 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。  

・業務指示・連絡に際して、筆談やメール等を利用すること。  

・ 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。

・ 危険箇所や危険の発生等を視覚で確認できるようにすること。  

・ 本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

 

~合理的配慮の事例~肢体不自由 

募集及び採用時 

・面接の際にできるだけ移動が少なくて済むよう採用時にすること。

採用後 

・ 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。  

・ 移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置や打合せ場所を工夫する等により職場内での移動の負担を軽減すること。

・ 机の高さを調節すること等作業を可能にする工夫を行うこと。 

・ スロープ、手すり等を設置すること。 

・ 体温調整しやすい服装の着用を認めること。

・ 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。

・ 本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

 

~合理的配慮の事例~内部障害  

募集及び採用時 

・ 面接時間について、体調に配慮すること。

採用後 

・ 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。  

・ 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。 

・ 本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること。

・ 本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

 

~合理的配慮の事例~知的障害  

募集及び採用時 

・ 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。

採用後 

・ 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。  

・ 本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと。

・ 図等を活用した業務マニュアルを作成する、業務指示は内容を明確にし、一つずつ行う等作業手順を分かりやすく示すこと。 

・ 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。 

・ 本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

 

~合理的配慮の事例~精神障害  

募集及び採用時 

・ 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。

採用後 

・ 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。 

・ 業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと。

・ 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。 

・ できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること。 

・ 本人の状況を見ながら業務量等を調整すること。 

・ 本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

 

~合理的配慮の事例~発達障害  

募集及び採用時 

・ 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。 

・ 面接・採用試験について、文字によるやりとりや試験時間の延長等を行うこと。

採用後 

・ 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。 

・ 業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うこと。

・ 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。 

・ 感覚過敏を緩和するため、サングラスの着用や耳栓の使用を認める等の対応を行うこと。 

・ 本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

 

~合理的配慮の事例~難病に起因する障害  

募集及び採用時

・ 面接時間について、体調に配慮すること。 

・ 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。

採用後 

・ 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。 

・ 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。 

・ 本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること。

・ 本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

 

~合理的配慮の事例~高次脳機能障害 

募集及び採用時 

・ 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。

採用後 

・ 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。  

・ 仕事内容等をメモにする、一つずつ業務指示を行う、写真や図を多用して作業手順を示す等の対応を行うこと。

・ 出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。

・ 本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること。 

・ 本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

 

 

  以上となります。

  なお「合理的配慮指針」にも示されていますが、上記はあくまでも例示であり、個々の障害者である労働者の障害の状態や職場の状況に応じて提供されるものであり、多様性があり、かつ、個別性が高いものということも併せて意識しておきましょう!

  明日は「合理的配慮」の『過重な負担』『相談体制の整備等』です。

 

 

今日のポイント

それぞれの障害に応じた事例を理解するだけでなく、個々に応じた柔軟な合理的配慮を心掛けよう!