指針の中で示されている「差別に該当する内容」
昨日に引き続き、本日も厚生労働大臣が定める「障害者差別禁止指針」の内容についてです。
今日は「障害者差別禁止指針」の中で示されている、「7 福利厚生」~「13 労働契約の更新」のそれぞれの場合について、どのような場合に障害者であることを理由とする差別に該当するかについて確認していきましょう。
7 福利厚生
福利厚生の措置に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。
①障害者であることを理由として、障害者に対して福利厚生の措置を講じないこと
②福利厚生の措置の実施に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと
③障害者でない者を優先して福利厚生の措置の対象とすること
8 職種の変更
職種の変更に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすることや、その対象から障害者を排除すること、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。
①職種の変更に当たって、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすること又はその対象から障害者を排除すること
②職種の変更に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと
③職種の変更の基準を満たす労働者の中から障害者又は障害者でない者のいずれかを優先して職種の変更の対象とすること
9 雇用形態の変更
雇用形態の変更に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすることや、その対象から障害者を排除すること、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。
①雇用形態の変更に当たって、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすること又はその対象から障害者を排除すること
②雇用形態の変更に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと
③雇用形態の変更の基準を満たす労働者の中から障害者又は障害者でない者のいずれかを優先して雇用形態の変更の対象とすること
10 退職の勧奨
退職の勧奨に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者とすることや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。
①障害者であることを理由として、障害者を退職の勧奨の対象とすること
②退職の勧奨に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと
③障害者を優先して退職の勧奨の対象とすること
11 定年
定年に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすることや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。
①障害者に対してのみ定年の定めを設けること
②障害者の定年について、障害者でない者の定年より低い年齢とすること
12 解雇
解雇に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者とすることや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。
①障害者であることを理由として、障害者を解雇の対象とすること
②解雇の対象を一定の条件に該当する者とする場合において、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと
③解雇の基準を満たす労働者の中で、障害者を優先して解雇の対象とすること
13 労働契約の更新
労働契約の更新に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。
①障害者であることを理由として、障害者について労働契約の更新をしないこと
②労働契約の更新に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと
③労働契約の更新の基準を満たす労働者の中から、障害者でない者を優先して労働契約の更新の対象とすること
上記内容について「差別に該当しない場合」
そして昨日のブログと同じ内容となりますが、上記の7~13の内容に関し、次に掲げる①~④措置を講じた場合は、障害者であることを理由とする差別に該当しません。
①積極的差別是正措置として、障害者でない者と比較して障害者を有利に取り扱うこと
②合理的配慮を提供し、労働能力等を適正に評価した結果として障害者でない者と異なる取扱いをすること
③合理的配慮に係る措置を講ずること(その結果として、障害者でない者と異なる取扱いとなること)
④障害者専用の求人の採用選考又は採用後において、仕事をする上での力及び適性の判断、合理的配慮の提供のためなど、雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認すること
以上となります。指針の中における「基本的な考え方」として、「障害者に対する差別を防止するという観点を踏まえ、障害者も共に働く一人の労働者であるとの認識の下、事業主や同じ職場で働く者が障害の特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要である」と明記されています。
やはり一人ひとりの労働者の理解を深めることが大事になっていきます。
【今日のポイント】
障害者であることを理由とする差別をしていないか。「障害者差別禁止指針」に基づき丁寧に確認しよう。