「障害者雇用促進法」に明記されている障害者に対する差別の禁止

  昨日までは「障害者雇用促進法の総則」についてでしたが、今日からは「障害者に対する差別の禁止」に関する内容です。

  そしてまずは、今日と明日にかけ「障害者差別禁止指針」の内容を確認していきます。

 

  まずは、障害者雇用促進法第34条・第35条を確認しましょう!

 

●障害者雇用促進法第34条・第35条

第三十四条 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。

第三十五条 事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。

 

 まず、前提として法律上このように明記されていることを確認しておきましょう。

 

「障害者雇用促進法」に明記されている障害者差別禁止指針  

  そして、障害者雇用促進法第36条第1項を確認します。

 

●障害者雇用促進法第36条第1項

(障害者に対する差別の禁止に関する指針)

第三十六条 厚生労働大臣は、前二条の規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針(次項において「差別の禁止に関する指針」という。)を定めるものとする。

 

 「前二条」とは、第34条・第35条を指しますので、その条文内容に即した「事業主が適切に対処するために必要な指針」、つまりは「障害者差別禁止指針」を厚生労働大臣が定めるというものです。

 

指針の中で示されている「差別に該当する内容」

 その「障害者差別禁止指針」の中では、「1 募集及び採用」「2 賃金」「3 配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)」「4 昇進」「5 降格」「6 教育訓練」「7 福利厚生」「8 職種の変更」「9 雇用形態の変更」「10 退職の勧奨」「11 定年」「12 解雇」「13 労働契約の更新」のそれぞれの場合について、どのような場合に差別に該当するかを示しています。

 

 今日から明日にかけて、ひとつずつその内容を確認していきましょう。

 

1 募集及び採用

 募集又は採用に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。

障害者であることを理由として、障害者を募集又は採用の対象から排除すること  

募集又は採用に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと  

採用の基準を満たす者の中から障害者でない者を優先して採用すること

 

 なお、募集に際して一定の能力を有することを条件とすることについては、当該条件が当該企業において業務遂行上特に必要なものと認められる場合には、障害者であることを理由とする差別に該当しません。

 しかし、募集に当たって、業務遂行上特に必要でないにもかかわらず、障害者を排除するために条件を付すことは、障害者であることを理由とする差別に該当するとされています。

 

2 賃金

 賃金の支払に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。

障害者であることを理由として、障害者に対して一定の手当等の賃金の支払をしないこと  

一定の手当等の賃金の支払に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと

 

3 配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)

 配置に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすることや、その対象から障害者を排除すること、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。

一定の職務への配置に当たって、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすること又はその対象から障害者を排除すること

一定の職務への配置に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと  

一定の職務への配置の条件を満たす労働者の中から障害者又は障害者でない者のいずれかを優先して配置すること

 

4 昇進 

 昇進に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。

障害者であることを理由として、障害者を一定の役職への昇進の対象から排除すること 

一定の役職への昇進に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと

一定の役職への昇進基準を満たす労働者が複数いる場合に、障害者でない者を優先して昇進させること

 

5 降格

 降格に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者とすることや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。

障害者であることを理由として、障害者を降格の対象とすること 

降格に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと 

降格の対象となる労働者を選定するに当たって、障害者を優先して対象とすること

 

6 教育訓練

 教育訓練に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当します。

障害者であることを理由として、障害者に教育訓練を受けさせないこと 

教育訓練の実施に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと

教育訓練の対象となる労働者を選定するに当たって、障害者でない者を優先して対象とすること

 

上記内容について「差別に該当しない場合」

 ただし上記の1~6の内容に関し、次に掲げる①~④措置を講じた場合は、障害者であることを理由とする差別に該当しません

積極的差別是正措置として、障害者でない者と比較して障害者を有利に取り扱うこと    

合理的配慮を提供し、労働能力等を適正に評価した結果として障害者でない者と異なる取扱いをすること

合理的配慮に係る措置を講ずること(その結果として、障害者でない者と異なる取扱いとなること)

障害者専用の求人の採用選考又は採用後において、仕事をする上での力及び適性の判断、合理的配慮の提供のためなど、雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認すること

 

なお、②③④に記載がある「合理的配慮」については、後日ブログにてご紹介します。

以上となります。明日は「7 福利厚生」~「13 労働契約の更新」の内容を確認していきます。

 

 

今日のポイント

「労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱い」をしていないかを強く意識しよう。