それでは、今月の最後に「能力開発」について、まとめていきます。
キーワードは「従業員を信じ抜くこと」です。
「終身雇用により、一生涯の人生を保障する」という価値観だけではない
以前のブログでお伝えしましたが、組織が「終身雇用」を推し進めるのであれば、「生活を保障すること」ではなく「組織として、その従業員が必要なこと」を伝えた方が良いとお伝えしました。
なぜ、その方法が良いかと言えば、ほぼすべての人たちに対し、ストレートに伝わるからです。
組織に働き続けるかどうかは別として、組織から「必要」と言われ、悪い気持ちになる人はいないと思います。
すでに、組織が「生活を保障する」という理由で、従業員に歯を食いしばって仕事をさせる時代は既に終わりつつあり、生活のために歯を食いしばって仕事をするかどうかは従業員が決めれば良いわけです。
「終身雇用」を推し進めることが決して悪いことではありません。長期的に人材育成を進める上で必要な視点です。
問題は「終身雇用」という価値観だけに囚われることです。
「終身雇用」だけの視点では、従業員を支配的に管理することにつながり、以前ブログでご紹介した「受動的な能力開発」だけが行われる結果となります。
「能力開発」を推進することは、「多様性」を受け入れること
従業員を支配的に管理する組織は、「能力開発」を行うことに消極的になると思っています。
なぜなら、積極的に「能力開発」を推し薦めれば、多様な価値観が生まれ、統制が取りにくくなると思い込む傾向にあるからです。
私が若い方から、ある組織に就職したときの話を聴いたのですが、その組織は「定年まで働いてもらえば嬉しいが、何年か働いてキャリアを積んで退職し、そのキャリアを次のステップに生かしてもらうことも嬉しい」と伝えられたそうです。
この1つの言葉だけで、「終身雇用」だけにこだわっていないこと、そして「多様性」を受け入れていることが分かります。
そして、組織としても、結果として「多様性」を受け入れる方が、従業員同士が互いに認め合う職場風土が生まれ、一人ひとりの従業員の意思で「能動的な能力開発」が行われると考えていると思います。
「能動的な能力開発」が、「良い仕事」を生み出し、その積み重ねにより「組織への愛着心」が沸き、「この組織で働きたい」という良循環につながるわけです。
「多様性」を受け入れるには、従業員の能力開発のプロセスを「信じ抜くこと」
おそらく「多様性」を受け入れることができない組織は、どこか従業員を「信じていない」ことが多いのかもしれません。
「信じていない」というのは、「能力を認めていない」というのもありますが、親心のように「自立できていない」と思ってしまうこともあるかもしれません。
組織経営に関しては、あまり従業員を信じ過ぎることにリスクはあると思いますが、少なくとも能力開発について言えば「従業員を信じ抜くこと」がとても大切だと思います。
能力開発に関して「従業員を信じ抜くこと」ができる組織は、余裕・度量が感じられるからです。
「信じていない組織」は、目の前のことに追われ、余裕を感じないからです。
目の前のことに追われてていても、「従業員を信じ抜くこと」ができる組織(管理者)であれば、従業員は「この組織で頑張ろう!」そして「もっと能力を高めよう」と感じてくれると思っています。
以上、今月の特集「能力開発」でした。ご覧いただき、ありがとうございました。
来月、令和3年6月の特集は「障害者の雇用」です。
【今日のポイント】
「能力開発」を推進することは、「多様性」を受け入れること。それは、従業員が「この組織で働きたい」という思いにつながる!