「受動的な能力開発」と「能動的な能力開発」

 昨日は「キャリアコンサルタント」を通じて、従業員の「強み」を引き出すことについてお伝えしました。

 今日は能力開発の「受動」と「能動」というお話です。

 なお「受動的な能力開発」と「能動的な能力開発」は一般的な用語ではなく、このブログで私が説明するために使用している言葉です。

 

 「この研修を受けなさい!」「スキルをもっと高めなさい!」と指示を受けるのが「受動的な能力開発」とします。

 自らが「この研修を受けたい!」「スキルを高めたい!」という自発的な意思から生まれたものが「能動的な能力開発」とします。

 

 一般的には「やらされている(受動的な能力開発)」よりも「やりたい(能動的な能力開発)」の方が大事だと考えられていますし、私もそう思います。

 しかし、私は「やらされている」ことも大事だと考えています。そこから話を進めていきたいと思います。

 

「受動」がなければ、組織の規律が保てない

 「この研修を受けなさい!」「スキルをもっと高めなさい!」という「受動的な能力開発」の場面をつくることで、組織としての方向性を示していることにもなります。

 例えば新人職員のOJTなどは、その典型例です(OJTについては以前のブログをご覧ください)。

 現場での実践を通じて、さまざまな能力を身に着けさせることが、能力開発の第一歩です。

 

 また「受動的な能力開発」は、組織の規律を保つためにも必要です。

 一人ひとりの従業員が好き勝手に能力開発を行ったのでは、組織としての統制はとれません。

 

 OFFーJTの場面などで、従業員が「学んでもらいたいこと」「遵守してもらいたいこと」を能力開発の場面で伝えることにより、組織から従業員への強いメッセージを伝えることにもつながります。

 

「受動」だけの仕組みであれば、従業員の「甘え」にもつながる

 一方でこれは「能力開発」の仕組みに限ったことではありませんが、「やりなさい」と言われることが嫌に感じる方は多いと思います。

 

 実際私も人から指示されることは好きではありませんが、一方で「こんなに楽なことはない」と思います

 「やりなさい」と言われたことを「やれば」それでいいのですから。

 

 「やりなさいと言われたことをやる」という習慣だけができてしまうと、主体的に考えることを放棄してしまいます。

 主体的に考えることが無駄だと感じ、傍観的な考えが生まれます。

 

 それが「甘え」にもつながるいうことです。

 ただし、誤解がないように伝えますが、受動的な能力開発が悪いわけではありません。受動的な能力開発「だけ」になることが良くないということです。

 

「能動」がなければ、モチベーションは向上しない

 大事なことは「受動的な能力開発」と「能動的な能力開発」とのバランスです。

 

 「受動的な能力開発」だけでは、組織が生産性を上げる上で、ある程度の効果は発揮するかもしれませんが、大きくは望めないと思います。

 なぜなら、何度も繰り返しますが、従業員にとっては「指示を受けたことをやれば、それでいい」わけです。

 つまり、それにはモチベーションを高める上での効果はありません

 

 では、どのようにすればモチベーションが高まるのか

 それは「能動的な能力開発」を行う仕組みをつくることです。

 

 例えば「出世をしたい」ということをモチベーションにすることも悪くはありません。

 しかし、出世をできる人数にはかぎりがあるでしょうし、出世をして給料が上がるかどうかは、結局は経営状況にも委ねられます。

 

 すべての人たちのモチベーションを上げるのに最も効果を高めることは「良い仕事をしたい」という思いを引き出すことです。

 そして、それは「もっと良い仕事をしたい」という更なる向上心につながります。

 

 その「もっと良い仕事をしたい」を実現するのが、自らの意思で能力を高めるという「能動的な能力開発」です。

 

従業員の「能動」だけに頼れば、組織との距離感が生まれる

 「もっと良い仕事をしたい」という思いは無限大です。

 

 「良い仕事をしたい」⇒「能力開発」⇒「良い仕事をしたい」⇒「能力開発」⇒・・・を繰り返せば、モチベーションは上がり続け、組織の生産性も向上します。

 

 しかし一方で、組織の中でできることには限りがあります。

 「良い仕事をしたい」⇒「能力開発」を繰り返すことで、従業員が「組織から離れる」という思いが大きくなります。

 

 組織が「優秀な人材に長く働いてもらいたい」と思うのであれば、従業員の「能動(自発性)」だけに頼ることもにはリスクもあります

 そうなると、以前ブログでご紹介した「従業員の能力開発に関わる要望」と「組織の期待」の『すれ違い』が生まれます

 これを避けるためには、同じく以前ブログでご紹介した「従業員の能力開発に関わる要望」と「組織の期待」の『擦り合わせ』を行うことです。

 

 「受動的な能力開発」と「能動的な能力開発」とのバランスをぜひ意識してください

 

 

今日のポイント

「能動的な能力開発」で従業員のモチベーションを向上させ、「受動的な能力開発」で組織のメッセージを伝えよう!