事業主が講じる努力義務の具体的な内容は?

 昨日は、職業能力開発促進法における「事業主が配慮すること」をお伝えしましたが、今日は「事業主が講じる努力義務」です。

 まず骨子となる内容は、法律の第4条に明記されていますので、早速確認していきましょう!

 

●職業能力開発促進法第4条第1項

第四条 事業主は、その雇用する労働者に対し、必要な職業訓練を行うとともに、その労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するために必要な援助その他その労働者が職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上を図ることを容易にするために必要な援助を行うこと等によりその労働者に係る職業能力の開発及び向上の促進に努めなければならない。

 

 今回は主な努力義務として、次の「3つの内容」をお伝えします。

 

努力義務1 計画的な職業能力開発の促進

第11条で明記されています。条文を確認しましょう。

 

●職業能力開発促進法第11条

(計画的な職業能力開発の促進)

第十一条 事業主は、その雇用する労働者に係る職業能力の開発及び向上が段階的かつ体系的に行われることを促進するため、第九条から第十条の四までに定める措置に関する計画を作成するように努めなければならない。

2 事業主は、前項の計画を作成したときは、その計画の内容をその雇用する労働者に周知させるために必要な措置を講ずることによりその労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上を促進するように努めるとともに、次条の規定により選任した職業能力開発推進者を有効に活用することによりその計画の円滑な実施に努めなければならない。

 

 第九条から第十条の四は、昨日ご紹介した「配慮1~5」の内容です。

 事業主は、その内容に関する計画(事業内職業能力開発計画)を作成する努力義務があるということです。

 

そして「事業内職業能力開発計画」を作成したときは、①~③の内容を遂行する努力義務があります。

労働者に周知させるために必要な措置を講ずること

労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上を促進するように努める

次の「努力義務2」により選任した職業能力開発推進者を有効に活用することによりその計画の円滑な実施に努めなければならない

 

 事業内職業能力開発計画の作成に当たっては、「経営理念」「人材育成の基本方針」「雇用管理の方針」「各職務に必要な職業能力」「教育訓練体系図」といった内容を記載すると良いとされています

 詳しくは「厚生労働省ホームページ」でご確認ください。計画作成の動画などもご覧になれます。

 

努力義務2 職業能力開発推進者の選任

 実際には、第12条で明記されています。

具体的には、次の(1)~(3)の業務を担当する者を選任するように努めなければならないということです。

(1)事業内における職業能力開発計画の作成と実施

(2)企業内での従業員に対する職業能力の開発に関する相談と指導

(3)国、都道府県、中央職業能力開発協会(各都道府県協会)との連絡等

 

 詳しくはこちらも「厚生労働省ホームページ」でご確認ください。

 

努力義務3 熟練技能等の習得の促進

  第12条2第1項で明記されています。こちらも条文を確認しましょう。

 

●職業能力開発促進法第12条2第1項

(熟練技能等の習得の促進)

第十二条の二 事業主は、必要に応じ、労働者がその習得に相当の期間を要する熟練した技能及びこれに関する知識(以下この条において「熟練技能等」という。)に関する情報を体系的に管理し、提供することその他の必要な措置を講ずることにより、その雇用する労働者の熟練技能等の効果的かつ効率的な習得による職業能力の開発及び向上の促進に努めなければならない。

 

具体的な内容については「労働者の熟練技能等の習得を促進するために事業主が講ずる措置に関する指針」で示されています。

措置の努力義務の概略については、次の「1」~「3」のとおりです。

 

1 事業主は、労働者が習得する熟練技能等の目標を定めることを容易にするために、当該事業主の雇用する労働者が有する熟練技能等に関する情報を体系的に管理し、提供するに当たって、次の事項に配慮すること

 労働者が従事する業務に要する熟練技能等の程度ごとに、当該熟練技能等に関する情報を管理し、当該労働者の熟練技能等の習得の状況に応じ、当該情報を提供すること。

 労働者の熟練技能等の継承に係る基本方針、当該基本方針に基づく熟練技能等の継承の取組の実施に関する計画及びこれらに基づき実施する職業訓練、職業能力検定等に関する情報を提供すること。

 熟練技能等の習得に資する教育訓練、職業能力検定等に関する情報を提供すること。

 

2 事業主は、上記「努力義務1」の計画を作成するに当たっては、労働者が段階的かつ体系的に熟練技能等を習得することができるように配慮すること。

 

3 事業主は、労働者が実務の経験等を通じて熟練技能等を習得することができるようにするために、労働者の配置その他の雇用管理について、次のように配慮すること。

 労働者が熟練技能等を必要とする業務に従事する機会の確保について配慮すること。

 労働者が業務の遂行の過程内において又は当該業務の遂行の過程外において、熟練技能等を習得することができるようにするため、熟練技能等を有する労働者の配置、定年の引上げ、継続雇用その他の雇用管理について配慮すること。

 労働者が習得した熟練技能等の有効活用を図るため、当該熟練技能等の十分な発揮が可能となるよう的確な配置及び処遇について配慮すること。

 

 以上の内容です。

 上記3つの内容を実践している事業者は少ないかもしれませんが、以前からこのブログでも紹介していますが、「努力義務」は大事な定めですので、前向きに実施を検討してみましょう!

 

 明日は、「職業能力開発促進法」に定めがある「技能検定」です。

 

 

今日のポイント

努力義務を講じることは、会社・事業者の強みにもつながっていく!