能力開発にかかわる法律「職業能力開発促進法」

 昨日までは「教育訓練給付金」をご紹介しましたが、今日からは「職業能力の開発・促進」についてお伝えします。

 「職業能力の開発・促進」について定める法律は、「職業能力検定」「キャリアコンサルタント」などの内容も明記している「職業能力開発促進法」をご紹介します。

 このブログ内で、以前からお伝えしている「第1条の重要性」も踏まえ、今日は、法律の第1条及び第3条第1項を中心に触れていきます!

 

職業能力開発促進法の「目的」

まずは、職業能力開発促進法の「目的」です。第1条に明記されています。

 

●「職業能力開発促進法」第1条

(目的)

第一条 この法律は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)と相まつて、職業訓練及び職業能力検定の内容の充実強化及びその実施の円滑化のための施策並びに労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するための施策等を総合的かつ計画的に講ずることにより、職業に必要な労働者の能力を開発し、及び向上させることを促進し、もつて、職業の安定と労働者の地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

 

 なお条文にある「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」は、以前「ハラスメント」の特集の際にご紹介した「労働施策総合推進法」のことです。

 それでは、条文の内容を紐解いていきます。

 

キーワードは「労働者の主体性」

 第1条を「何をする?」⇒「何を促進する?」⇒「何を目的とする?」の順で理解してみましょう!

 

何をする 以下の①・②を「総合的かつ計画的に講ずる」

「職業訓練及び職業能力検定の内容の充実強化」及び「その実施の円滑化のための施策」 

「労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するための施策等」

 

何を促進する? 

職業に必要な労働者の能力を開発し、及び向上させること

 

【何を目的とする?】 

「職業の安定と労働者の地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的」

 

 ポイントは【何をする】 ②の「労働者自らが~」です。

 「労働者の主体性」を尊重していることがうかがわれます。

 

 主体性があってこそ、能力向上につながり、「自らの地位向上」さらには「経済・社会発展」につながります

 

職業能力開発促進法の「基本理念」

 つづいては、職業能力開発促進法の「基本理念」です。第3条第1項に明記されています。

 

●職業能力開発促進法第3条第1項

(職業能力開発促進の基本理念)

第三条 労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるようにすることが、職業の安定及び労働者の地位の向上のために不可欠であるとともに、経済及び社会の発展の基礎をなすものであることにかんがみ、この法律の規定による職業能力の開発及び向上の促進は、産業構造の変化、技術の進歩その他の経済的環境の変化による業務の内容の変化に対する労働者の適応性を増大させ、及び転職に当たつての円滑な再就職に資するよう、労働者の職業生活設計に配慮しつつ、その職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行われることを基本理念とする。

 

 それでは、こちらも条文を区切って、紐解いていきます。

 

職業の安定及び労働者の地位の向上のために不可欠なもの

労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるようにすること

 

経済及び社会の発展の基礎をなすもの

労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるようにすること

 

職業能力の開発及び向上の促進による効果

産業構造の変化、技術の進歩その他の経済的環境の変化による業務の内容の変化に対する労働者の適応性を増大させる

転職に当たつての円滑な再就職に資する

 

基本理念(効果の実現)

労働者の職業生活設計に配慮しつつ、その職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行われること

 

ポイントは「労働者の職業生活の全期間」

 まず、第1条目的を達成するには「労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるようにすること」が不可欠であるとしています。

 さらに、労働者の適応性を増大させ、円滑な転職などにも結びつけられるよう、法律施行により「労働者の職業生活設計に配慮しつつ、その職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行われること」を基本理念としています。

 

 そして、この条文では「職業生活の全期間」が軸となり、いろいろな意味合いが込められていると思います。

 少子高齢化、定年を過ぎても「少しでも長く働きたい」という思いを尊重していること、産業構造変化や技術進歩などにより「求められる働き方」も急激に変化していること等、一人ひとりの労働者が「職業生活の全期間」という長期的視点を持つことの必要性に触れています。

 

 その視点があらゆる状況に対応することができ、職業訓練・教育訓練などを受けることで、労働者の地位を向上させ、それが経済及び社会の発展につながるとしています。

 

 まずは、「職業能力開発促進法」の目的と理念についてご紹介しました。

 明日は、その実現のために「事業主が配慮すること」をお伝えします。

 

 

今日のポイント

これからの時代の能力開発に必要な視点は、「労働者の主体性」を尊重し「労働者の職業生活の全期間」へ配慮すること!