昨日までは「出産・育児に関するハラスメント」でしたが、本日からは「出産・育児に関する組織の取り組み」です。
今日は「次世代育成支援対策推進法」を紹介します。
「次世代育成支援対策推進法」の目的は?
●次世代育成支援対策推進法第1条
第一条 この法律は、我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化にかんがみ、次世代育成支援対策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業主及び国民の責務を明らかにするとともに、行動計画策定指針並びに地方公共団体及び事業主の行動計画の策定その他の次世代育成支援対策を推進するために必要な事項を定めることにより、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進し、もって次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することを目的とする。
上記第1条に明記された内容が、この法律の目的です。紐解いていきます。
【現況】
「急速な少子化の進行」「家庭及び地域を取り巻く環境の変化」がある。
だから・・・・
【方法】
「①法律で、基本理念を定める」
「②法律で、国、地方公共団体、事業主及び国民の責務を明らかにする」
「③法律で、行動計画策定指針並びに地方公共団体及び事業主の行動計画の策定その他の次世代育成支援対策を推進するために必要な事項を定める」
の3つを明記している。
これらを迅速かつ重点的に推進することにより・・・・
【目的】
「次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資すること」が目的です。
この法律は、平成15年に制定され、平成17年4月に全面施行されたものです。
「急速な少子化の進行」「家庭及び地域を取り巻く環境の変化」という社会的課題に対し、どのように向かっていくかということが明記された法律であるということを、まずは意識しましょう!
「次世代育成支援対策推進法」の基本理念は?
●次世代育成支援対策推進法第3条
第三条 次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。
ここで示されているのは①~③の内容です。
①子育ての第一義的責任を有するのは、父母その他の保護者である。
②家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められるための対策を行わなければならない
③子育てに伴う喜びが実感されるように配慮した対策を行わなければならない。
「次世代育成支援対策推進法」の国・地方公共団体の責務は?
●次世代育成支援対策推進法第4条
第四条 国及び地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、相互に連携を図りながら、次世代育成支援対策を総合的かつ効果的に推進するよう努めなければならない。
どちらかといえば具体的というより「抽象的な内容」ですし、義務ではなく「努力義務」です。
しかし、「基本理念にのっとり」というしっかりとした軸を置き、柔軟な取り組みを運用できる内容でもあります。
「次世代育成支援対策推進法」の事業主の責務は?
●次世代育成支援対策推進法第5条
第五条 事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者に係る多様な労働条件の整備その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行うことにより自ら次世代育成支援対策を実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならない。
かなり具体的に明記されています。こちらも紐解いてみましょう。
【目的】
事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者に係る多様な労働条件の整備その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにする。
【方法】
必要な雇用環境の整備を行うことにより自ら次世代育成支援対策を実施するよう努める。
【義務】
国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならない。
第1条からの目的と併せて解釈すると「事業主(会社)としての経営だけを考えるのではなく、急速な少子化などの社会的課題の解決に向け、公的施策に協力をする必要がある」というようなことです。
少し昔であれば「ひたすらに会社の生産性向上のために邁進することが、国の発展にもつながり、家族を養うことにつながる」という考えが、時代の変化とともに「一人ひとりの働き方を尊重すること」に変わってきたと言えるかもしれません。
「次世代育成支援対策推進法」の事業主の責務は?
●次世代育成支援対策推進法第6条
第六条 国民は、次世代育成支援対策の重要性に対する関心と理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならない。
事業主だけでなく、働いている方々一人ひとりを含めた国民全体もまた国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければなりません。
今日の内容はかなり抽象的なことが多かったかもしれませんが、実はすごく大事な内容ととらえています。
今月から紹介している「出産・育児に関するさまざまな取り組み」を推進されるための根拠となるべきことが凝縮されているからです。
私見ではありますが、従来までの「会社の発展⇒社会の発展」という一方向的な捉え方から、「会社の発展⇔社会の発展」を双方向的に捉える必要性を示しているものと感じています。
明日は、今日触れなかった「事業主の行動計画」についてお伝えします!
【今日のポイント】
「次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成」のためには国民全員の協力が必要である!