「健康保険」「厚生年金保険」の保険料が軽減されるかも?

 一昨日昨日は「休業時」の保険料でしたが、今日は「出産・育児により労働時間短縮などで報酬が低下したときの保険料」についてです。

 つまり、出産・育児休業後に職場復帰したが、時間短縮や時間外労働をしないことなどにより、以前より報酬が低下した場合の内容です。

 

 この場合「健康保険」「厚生年金保険」の『標準報酬月額』が改定されることにより、保険料負担も軽減する仕組みになっています。

 少し遠回りになりますが、まず「標準報酬月額」について説明します。

 

標準報酬月額」とは?

 まず給与明細の中には「健康保険」「厚生年金保険」の保険料が控除されていると思います。

  これは、給料に一定率を乗じて算出されますが、毎月同じ額の給料が支払われるとも限りません。月の残業時間などにより、毎月の給料が少しずつ違うことの方が多いと思います。その少しの違いのために、毎月保険料を算出するとしたら、大きな労力となります。

 そこで、月の給料(報酬月額)が「〇〇円~〇〇円」を貰っていたいた場合は、一律に「●●円」として取り扱うことにより算出するための労務を軽減します。この「●●円」が『標準報酬月額』です。

 

 例えば、月給が「29万5千円」の場合、健康保険では「29万以上31万円未満」で、標準報酬月額は第22級で「30万円」となります。

 そして厚生年金保険法では、月給が「29万5千円」の場合、厚生年金保険では「29万以上31万円未満」で、標準報酬月額は第19級で「30万円」となります。

 

 つまり、この「標準報酬月額」の等級が下がれば、保険料の負担も軽減されます。

 

標準報酬月額」が改定されるときは?

 以下の5つのときです(ここでは「標準報酬月額」の概要を理解いただくことが目的のため、詳細については省略させていただきますので、ご了承ください)。

①資格取得時決定⇒新入社員など

②定時決定⇒全被保険者が毎年1回

③随時改定⇒固定的賃金に大きな変更があったとき等

④育児休業等終了時改定

⑤産前産後休業終了時改定

 

 まず、基本は「②定時決定」です。

  毎年1回、7月1日前の3カ月間の報酬などに基づき「標準報酬月額」を定め、9月から翌年8月までの各月の保険料算出に使用します。

 しかし、給料額に大きな変動があった場合に、標準報酬月額が変わらなければ、給料に対する保険料が過大(もしくは過少)なものになります。その時は「③随時改定」です。

 「随時改定」ができるのは、原則「固定的賃金に大きな変更があった」、具体的に「3カ月間で標準報酬月額に2等級以外の差」が生じた場合などです。

 

 逆に言えば、原則、1等級変わるだけでは「随時改定」の対象にはなりません。

 ただし「第1級⇔第2級」「健康保険:第49級⇔第50級」等のように最も高い等級(もしくは最も低い等級)に関わる一定額以上の変動は除きます。

 

 そこで「③随時改定」よりも条件を緩やかにしたのが、「④育児休業等終了時改定」「⑤産前産後休業終了時改定」です。

 

「育児休業等終了時改定」の内容は?

 育児休業を取得し、職場復帰した労働者に関してです。

 

①対象 育児休業等(育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業又は政令で定める法令に基づく育児休業を含む)を終了し、職場復帰した3歳に満たない子を養育している被保険者

②方法 被保険者が(事業主を経由して)保険者等に申し出る

③算出 育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月分の報酬の平均額に基づき算出(原則、支払基礎日数が17日未満の月は除く)

④条件 標準報酬月額改定により1等級以上の差が生じる

⑤有効期間 改定月が1~6月⇒その年の8月まで、改定月が7月~12月⇒翌年の8月まで

 

 補足ですが、育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限ります。

「③算出」の「支払基礎日数が17日未満の月は除く」は、短時間労働者の場合「11日未満」となります。

 短時間労働者は「労働時間・労働日数が通常の労働者の4分の3以上で所定の要件を満たした者」です。

 

「産前産後休業終了時改定」の内容は?

 育児休業を取得せずに、産後復帰した労働者に関してです。

①対象 産前産後休業が終了し、職場復帰した、当該産前産後休業に係る子を養育している被保険者

②方法、③算出、④条件⑤有効期間 上記「育児休業等終了時改定」と同様。「育児休業等」を「産前産後休業」に読み替える。

 

 以上となりますが、簡潔にまとめますと「産前産後休業」又は「育児休業等」から職場復帰し、3カ月分の報酬の平均額が、休業前より標準報酬月額の1等級以上低下していれば、標準報酬月額の等級も下がり、保険料も軽減されます

ただし、3カ月分のうち「報酬の支払基礎日数が17日未満(短時間労働者は11日未満)の月の報酬」は、平均額の算出式からは除きます。

 

 

 今日の内容は「単純にこの条件に当てはまれば、保険料が軽減する」というものではありませんので、働いている皆様が詳しく知っておくことはたいへんだと思います。

 そのため、次にまとめる「今日のポイント」を抑えておきましょう!

 

 

今日のポイント

出産・育児休業等からの復帰後、労働時間が減った場合は「標準報酬月額改定」に該当するかどうかを事業主へ確認しよう!