労働時間が制限される「3つの内容」
昨日は「育児時間」等についてご紹介しましたが、今日は「労働時間が制限される場合」です。
「所定時間外労働」「法定時間外労働」「深夜業」の3つがあります。
~制限1~所定時間外労働
育児・介護休業法第16条の8に定めがあります。
所定時間外労働とは、就業規則などで明記された労働時間を超えて、労働した場合です(詳しくは、先月のブログをご覧ください)。
例えば、午前9時~午後5時(昼休憩1時間)であれば、午後5時~午後6時までが「所定時間外労働」、午後6時を超えて働いた場合は、法定労働時間の8時間を超えますので「法定時間外労働」になります。
なお、次に示す内容について、所定労働時間を超えてはいけないということは、当然法定労働時間を超えてもなりません。
【概要】事業主は、労働者から請求があった場合は「所定労働時間を超えて労働をさせてはなりません」。
・対象:3歳に満たない子を養育する労働者
・適用除外:①日々雇用される労働者、②事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者(除外する旨の労使協定が必要)、③週所定労働日数が2日以下の労働者(除外する旨の労使協定が必要)
・方法:労働者が、制限を受ける期間(初日及び末日)を明らかにし、制限開始予定日の1カ月前までに事業主へ請求する。
・制限期間:1か月以上1年以内の連続した期間
・例外:事業の正常な運営を妨げる場合には、事業主は労働者の請求を拒むことができる。
留意点は『対象』で「3歳に満たない子を養育する労働者」です。後述する「制限2」「制限3」と異なりますので、ご注意ください。
~制限2~法定時間外労働
こちらは、育児・介護休業法第17条に定めがあります。
所定外労働時間ではなく「法定時間外労働」に関する制限です。先ほどの例(午前9時~午後5時:1時間休憩)で言えば、午後6時を超えた労働時間ということです。
なお「法定時間外労働」は基本的に違法ですので、前提として「36協定」を締結している場合です(詳しくは、先月のブログをご覧ください)。
【概要】事業主は、労働者から請求があった場合は「制限時間(1か月につき24時間、1年につき150時間)を超えて労働時間を延長してはなりません」。
・対象:小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
・適用除外:①日々雇用される労働者、②事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者(労使協定不要)、③週所定労働日数が2日以下の労働者(労使協定不要)
・方法:労働者が、制限を受ける期間(初日及び末日)を明らかにし、制限開始予定日の1カ月前までに事業主へ請求する。
・制限期間:1か月以上1年以内の連続した期間
・例外:事業の正常な運営を妨げる場合には、事業主は労働者の請求を拒むことができる。
「制限1」と比較し、まず「対象が異なること」、そして「適用除外の②③については、労使協定の締結が不要」です。
~制限3~深夜業
こちらは、育児・介護休業法第19条に定めがあります。深夜業は「午後10時~午後5時の労働」を指します。
【概要】事業主は、労働者から請求があった場合には「深夜に労働をさせてはなりません」。
・対象:小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
・適用除外:①日々雇用される労働者、②事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者(労使協定不要)、③週所定労働日数が2日以下の労働者、④深夜において、常態として当該子を保育することができる当該子の同居の家族がいる労働者、⑤所定労働時間の全部が深夜にある労働者
・方法:労働者が、制限を受ける期間(初日及び末日)を明らかにし、制限開始予定日の1カ月前までに事業主へ請求する。
・制限期間:1か月以上6カ月以内の連続した期間
・例外:事業の正常な運営を妨げる場合には、事業主は労働者の請求を拒むことができる。
まず『対象』は「制限2」と同じ「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」です。
『適用除外』は、「制限2」の内容に④⑤が加わっています。そして「制限1・2」と違うのは、『制限期間』が「 1か月以上6カ月以内の連続した期間」ということです。
育児期間については、以上3つの制限があります。
なお、今回は「育児」に焦点を絞っていますのであまり触れていませんが、「制限1~3の対象」は「要介護状態にある対象家族を介護する労働者」も含まれますので知っておきましょう!
また、いずれの制限も当然に発生するものではなく、労働者の請求によって初めて制限されますので併せて知っておきましょう!
【今日のポイント】時間外労働・深夜業の制限を受けたいときには、1か月前には申し出る必要がある!