昨日は「出産育児一時金」についてお伝えしましたが、本日は健康保険法「出産手当金」です。

「出産手当金」とは?

 「出産手当金」は、健康保険法の定めにより、出産の日以前42日(多胎妊娠の場合には98日)から出産の日後56日までの間(支給期間)において、労務に服さなかった期間支給されます。

 

 なお、実際の「出産日」が「出産予定日」より後だった場合は、その間の日数分だけ支給期間が長くなります。

 例えば、6月1日出産予定日だったのが、6月5日に出産した場合は「4日分」支給期間が長くなります。つまり、出産の日以前46日(42日+4日)となります。

 

 なお、基本的に国民健康保険は「出産手当金」が支給されません。

 正確には、国民健康保険では「出産手当金」は任意給付にあたり「行うことができるもの」という位置づけですが、導入しているところは、ほぼありません。

 

「出産手当金」の支給額

 以下の数式により算出された額です。

 出産手当金=支給開始日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額の30分の1相当額×3分の2

 

  具体例を挙げて説明します。毎月、月収が29万5千円で、出産が出産予定日より4日延びて、産前産後休業を法定通りに取得したとします(休業期間中の出勤日なし、多胎妊娠ではない

 手順を追って説明します。

 

①各月の標準報酬月額の平均額の30分の1相当額

 健康保険の標準報酬月額表では、月収29万5千円の場合、標準報酬月額は「30万円」としています。

 例の場合、毎月同額ですので、標準報酬月額の平均額も「30万円」となります。

 

②支給開始日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額の30分の1相当額

 30万円に30分の1を乗じた「1万円」となります。

なお、この算出式の数値については、10円未満四捨五入となります。

 

③「上記④」に3分の2を乗じたものが、1日当たりの「出産手当金」

 1万円×3分の2=6,666.66・・⇒6,667円(1円未満四捨五入)

 

④「出産手当金」に支給日数を乗じたものが実際の支給額

 6,667円×(42日+4日+56日)=680,034円

 

「出産手当金」の受給手続き

 支給を受けようとする者が「支給申請書」とともに「労務に服さなかった期間に関する事業主の証明書」、「医師または助産師の意見書」などの書類を添付して保険者(協会けんぽなど)へ提出します。

 

「出産育児一時金」の留意点

留意点1 「被保険者のみ」が対象。ただし「任意継続被保険者」は対象外。

 「出産育児一時金」と異なり、被扶養者(家族)などの出産は対象になりません。

 また「任意継続被保険者(被保険者資格喪失後も引き続き2年を限度に、健康保険の適用を受ける者)」も対象外です。

 

留意点2 「労務に服さなかった期間のみ」が対象です。

 以前ブログでお伝えしましたが、産前(出産日以前42日)は直前まで働くこともできます。

 産後(出産の日後56日)は原則、労働禁止ですが、要件を満たせば働くこともできます。その「働いた日」は、「出産手当金」の対象外です。

 

留意点3 「労務に服さなかった期間」も報酬が発生すれば、「出産手当金」の額は調整されます。

  休業期間中でも事業主から報酬全額を受けたときは、「出産手当金」は支給されませんが、「報酬額」が「出産手当金」よりも少ないときは、その差額が支給されます。

 

留意点4 要件を満たせば「日雇特例被保険者」も受給できる。

 「日雇特例被保険者」は昨日のブログでお伝えしましたが、被保険者が「出産の日の属する月の前4ヵ月間に通算して26日分以上の保険料が納付されている」という要件を満たせば、「出産育児一時金」が支給されます。

 「日雇特例被保険者」の出産手当金の日額は、出産の月前4か月間において保険料が納付された日に係る標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものの45分の1に相当する額です。

 

 こちらも「日雇特例被保険者」の要件は、とても複雑です。

 「日雇特例被保険者」の保険者は「協会けんぽ」となりますので、対象となりそうな場合は問い合わせてみましょう。

 

明日は、健康保険の資格を喪失した際の「出産育児一時金」「出産手当金」についてです。

 

 

今日のポイント 産前産後期間に休職した場合、概ね1日あたり報酬の「3分の2相当」は保障される。