昨日までは、使用者が雇用契約を解約する「解雇」でしたが、今日は、定年や自己都合などによる「退職」についてです。

 

「退職」は申入れの日から、2週間を経過することで終了する

 まず、「自己都合退職」については、いつまでに伝えれば良いのかということです。

 この内容については、民法第627条第1項によって定められています。

 

●民法第627条第1項

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

 つまり、無期労働契約(期間の定めのない労働契約)の場合、「仕事を辞めます」と申入れた日から、2週間を経過したときに辞めることができます

 基本的に労働契約は民法の条文に基づいていますが、労働者を守ることを目的に、使用者が労働者へ解約を伝えるとき(解雇)は、14日より長い30日前という形で、労働基準法で定められています。

 

「退職時の証明書」に使用者が明記しなければならないことは?

 使用者が退職する労働者へ交付する「証明書」についてです。こちらについては、労働基準法第22条に明記されています。

 

●労働基準法第22条

第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

② 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

③ 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。

④ 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。

まず、労働者が証明書を請求したときに、次の1~5の内容について、使用者は遅滞なく交付をしなければなりません

1 使用期間  

2 業務の種類  

3 その事業における地位  

4 賃金  

5 退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)

 

なお、退職時の証明は、退職時から2年で時効により消滅します。

 

使用者は、労働者が請求しないことを「証明書」に記入してはならない

 続いて、労働基準法第22条第2項以降の内容確認です。

 

 第2項については、例えば、労働者が3月1日に解雇予告をされたとき(3月31日で退職)、3月1日から31日までの間に、労働者が使用者に対して解雇の理由(前記1~4は含まない)について証明書を請求したときは、使用者は遅滞なく交付しなければならないということです。

 3月20日に労働者自らの意思で退職した場合などは、その日以後証明書交付は不要というわけではなく、前記の労働基準法第22条第1項のルールに従い交付をするということです。

 

 そして第3項は、使用者は、労働者が請求しないことを「証明書」に記入してはならないということです。

 例えば「退職の事由」だけ記載した証明書を労働者が請求したときは、「賃金」「その事業における地位」などを、使用者は書いてはいけないということです。

 

 さらに第4項は、企業間で連携を謀り、国籍・信条・社会的身分・労働組合運動などの情報を連絡するなどして、労働者の就業を妨げてはいけないということです。

 また証明書には、暗号のようなもの(秘密の記号)を使用し、特定の相手にだけ情報がわかるような形で記入してはいけないということです。

 

退職をした時の賃金はすぐに支払われるの?

 この内容については、労働基準法第23条によって定められています。

 

●労働基準法第23条

第二十三条 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

② 前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。

 

 つまり、退職した労働者(死亡の場合は遺族などの権利者)が請求したときは、7日以内に賃金を支払わなければなりません

 ただし、退職手当については、この限りではありません

 

 以上「退職」についてです。「契約期間・解雇・退職」については、今日で終了です。

 

 3月の最後の2日間で「就業規則とは?」で、内容をまとめていきます!

 

 

今日のポイント

労働者が請求しない事項は「退職時証明書」に記載されない!