今日からは「契約期間」そして「解雇」「退職」に関わる内容です。
そして、今日は「有期労働契約」。つまりは、期間の定めのある労働契約についてです。
原則、有期労働契約は「最大3年まで」
以前紹介しました「労働契約」については、第14条第1項に明記されています。
●労働契約法第14条
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
本文で原則が述べられており、有期労働契約は3年を超えてはいけない、つまりは「最大3年まで」ということです。
なお、一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(完成が4年かかる建築の労働契約など)は、その終期まで(3年を超えて)契約ができます。
例外的に、有期労働契約が「最大5年のもの」
①専門的な知識、技術又は経験であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者
・博士の学位を有する者
・次の国家資格「公認会計士」「医師」「歯科医師」「獣医師」「弁護士」「一級建築士」「税理士」「薬剤師」「社会保険労務士」「不動産鑑定士」「技術士」「弁理士」
・情報処理技術者試験の区分のうちシステムアナリスト試験に合格した者、アクチュアリーに関する資格試験に合格したもの
・特許発明の発明者、登録意匠を創作した者、登録品種の育成者
・特定の職種(農林水産業等の技術者、システムエンジニア等で実務経験等の必要な要件を満たした者)に就き、1年あたりの賃金が1,075万円を下回らない者
②満60歳以上の労働者
有期労働契約期間内は、原則、解雇されない
有期労働契約は、原則、解約することができません。
つまり、契約期間内に解雇されることはありません。
ただし、「やむを得ない事由」があれば解雇できます。「やむを得ない事由」があるかどうかは、事案に応じて個別に判断されることになります。
有期労働契約期間内は、原則、労働者も退職できない
有期労働契約は、原則、解約することができません。
同じ言葉を2回繰り返してしまいましたが、これは労働者側にも言えることです。
つまり、原則、有期労働契約期間内は解雇されませんが、同時に退職もできません(労使間の合意があれば退職できる)。こちらも「やむを得ない事由」があるといえるかどうかは、事案に応じて個別に判断されることになります。
ただし、上限の定めが「最大3年まで」の対象となる労働者は、契約初日から1年を経過すれば、使用者に申し出ていつでも退職することができます。
しかし「一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約」「(上記の)労働契約が最大5年までのもの」は対象外です。
主な内容は以上となりますが、1回の契約期間の上限が「最大3年間(または5年間)」ということですので、契約更新を続けることは問題ありません。
ただし、労働契約が更新され、契約期間が5年を超えたときは、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換するルールがあります(詳しくは、厚生労働省サイト「有期労働契約の無期転換ポータルサイト」)。
有期労働契約のメリットは、その期間内に「原則、解雇されない」ことだと思いますが、特別な事情がなければ、一般的には「無期労働契約」の方が良いでしょう。解雇されることはありますが、法律上、合理的理由がなければ解雇は無効となりますので。
明日からは「解雇」を詳しく掘り下げていきます。
今日のポイント
「やむを得ない事由」がなければ、原則、有期労働契約は解約できない。