今日も「割増賃金」に関わる内容です。

 昨日の内容と重複しますが、まずは「割増賃金の額」の算出方法です。

 割増賃金の額 = 1時間当たりの賃金額 × 対象時間数 × 割増賃金率 です。

  昨日は、上記計算式の「割増賃金率」の内容でしたので、今日は「1時間当たりの賃金額」の内容です。

 

計算基礎となる賃金から除外されるもの

 まず、計算基礎となる賃金から除外されるもの、つまり「1時間当たりの賃金額には入ってこないもの」を先にお伝えいたします。

 以下の7つの内容です。

 

1時間当たりの賃金額には入らないもの

1 家族手当  

2 通勤手当  

3 別居手当  

4 子女教育手当

5 住宅手当  

6 臨時に支払われた賃金  

7 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

  なお、法律上は「家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない」という明記に留まり、運用上は「除外することができる賃金」となりますので、使用者が上記手当を算入することもできます。

  また、上記内容は名称に関わらず実質的に判断されるものとされ、例えば上記1~5で、労働者に一律定額で支給されるようなものは算入する必要があるとされています。

 

「1時間当たりの賃金額」の算出方法

 上記7つの内容を除いた賃金額に基づき算出します。主な2つのパターンに分けて説明します。

 

パターン1 時給制の場合

 例えば、「時給2,000円」「1日の労働時間が8時間」の場合、8時間を超えて、さらに「時間外労働」を3時間した場合です。

 「1時間当たりの賃金額」は「2,000円」となりますので

「時間外労働の賃金」は、 2,000円×3時間×1.25=「7,500円」となり、通常の8時間分の賃金16,000円(2,000円×8時間)と時間外手当7,500円の合計23,500円が支給されることになります。

 

パターン2 月給制の場合

 1時間当たりの賃金額=(上記7項目を除いた)月の賃金÷月の所定労働時間数 です。

 

  例えば、「月給 20万円(上記7つ手当は除いた額)」「就業規則に定められている休日は、土曜日・日曜日・祝日(仮に労働する日が246日の場合)」「1日の所定労働時間は8時間」の場合です。

  まず「月(その期間)の所定労働時間数」を算出します。

月の所定労働時間数=1年間の労働することとされる日数(1年間の日数から所定休日を除いた日数)×1日の所定労働時間数÷12カ月 です。

 

 上記の例でいうと、246日×8時間÷12カ月=164時間 となります。

  そして、最初の式に当てはめると「1時間あたりの賃金額」は200,000円÷164時間=1,219.51・・・(1円未満四捨五入)⇒「1,220円」となります。

 

  仮に、この労働者が、1カ月に20時間の時間外労働をすれば、

 「時間外労働の賃金」は、1,220円×20×1.25=「30,500円」となり、20万円の固定給と30,500円の時間外手当の合計230,500円が支給されることになります。

 

 なお、「日給制」「週給制」の場合は、「月」のところを「日」「週」に置き換えて算定できます。「所定労働時間数」については、「日」によって所定労働時間数が異なる場合は1週間の1日平均所定労働時間数を、「週」によって所定労働時間数が異なる場合は4週間の週平均所定労働時間数となります。

 

 今日の内容はかなり複雑ですので、実際は給与担当者の方など限られた方が実務で携わる内容だと思いますが、まずはイメージを掴んでいただけたらと思います。

 

 

今日のポイント

自らの「1時間当たりの賃金額」を知っておくことも、「時間外・休日・深夜労働」の理解をより深める!

 

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