今日は、「時間外労働」「休日労働」の割増賃金率を確認していきます。

割増賃金を支払う5つのパターン

 今日は、「時間外・休日労働」をした時に、どれだけ割増されるかという内容です。

 なお、割増賃金には「深夜労働」も含みますので、「深夜労働」の内容を含めて説明していきます。

 

 まずは「割増賃金の額」の算出方法です。

 割増賃金の額 = 1時間当たりの賃金額 × 対象時間数 × 割増賃金率 です。

 

 なお、「1時間当たりの賃金額」については、明日詳しく説明しますので、現時点では、大まかに「給料を1時間単位で算出した額」とご理解ください。

 そして、最後に乗じる「割増賃金率」について、次の5つのパターンがあります。

 

パターン1 時間外労働 25%以上の割増賃金率

 例えば、1時間当たりの労働時間が2,000円で、午前9時~午後5時(昼休憩1時間)の労働者が、午後6時~午後7時までの1時間労働をした場合です。

 午後6時~午後7時までの割増賃金は、2,000円×1.25=2.500円となります。

 なお、午後5時~午後6時の労働は、8時間を超えていませんので、割増賃金率を乗じる必要はなく、2,000円となります(もちろん割増賃金率を乗じても構いません)。

 

パターン2 休日労働 35%以上の割増賃金率

 1時間当たりの労働時間が2,000円で、法定休日が「日曜日」と就業規則で定められた労働者が、日曜日に午前9時~午後8時(昼休憩1時間)で合計10時間働いた場合です。その10時間分の賃金は、2,000円×10時間×1.35=27,000円です。

 

 なお、週休2日で「土曜日」に働いたとしても、就業規則で法定休日と定められていなければ、割増賃金率を乗じる必要はありません(もちろん割増賃金率を乗じても構いません)。

 この場合、土曜日は「所定休日」となります。所定休日は、休日労働の割増賃金率を乗じる必要はありません。ただし、土曜日に働いているということは、1週間に40時間を超えた労働をしていることが考えられますので、その場合は40時間を超えた労働時間は、時間外労働の割増賃金率1.25を乗じる必要があります。

 

 また、休日に労働をしている場合は休日労働であり、時間外労働という規制は及びませんので、7時間働いても、10時間働いても、法定休日に働いた割増賃金率は1.35です(ただし、後述の深夜時間帯は除く)。

 

パターン3 深夜労働 25%以上の割増賃金率

 深夜時間帯(午後10時から午前5時まで)に労働した時間です(厚生労働大臣が必要と認めた際は例外規定有)。

 1時間当たりの労働時間が2,000円で、午後10時~午前5時(途中休憩1時間)まで労働した場合です。

 2,000円×6時間×1.25=15,000円となります。

 

 ここで留意事項ですが、時給制の場合、通常12,000円の給料が、深夜に働いて15,000円になったという解釈で大丈夫です。

 しかし、後述の「パターン4・5」を除き、深夜労働が所定労働時間内で収まっているのであれば、時間外・休日労働の場合とは異なり、基礎となる労働時間分の報酬は、固定給の中に既に算出されていることになります。

  したがって、例に挙げた給与支払いが固定給の場合、固定給の額に「3,000円(2,000円×6時間×0.25)」を加えた額が支払われるということになります。

 

パターン4 時間外労働+深夜労働 50%以上の割増賃金率

  1時間当たりの労働時間が2,000円で、午前9時~深夜0時(昼休憩1時間)まで労働した場合です。

  8時間を超えた午後6時~午後10時まで(4時間分)は、上記の時間外労働の割増賃金率1.25を乗じます。

  そして、午後10時~深夜0時(2時間分)は、深夜時間帯に入った時間外労働ですので、2,000円×2時間×1.5=6,000円となります。

 

パターン5 休日労働+深夜労働 60%以上の割増賃金率

  1時間当たりの労働時間が2,000円で、法定休日が「日曜日」と就業規則で定められた労働者が、日曜日に午前9時~深夜0時(昼休憩1時間)まで労働した場合です。

  深夜以外の時間帯である午前9時~午後10時まで(12時間分)は、上記の休日労働の割増賃金率1.35を乗じます。そして午後10時~深夜0時(2時間分)は、深夜時間帯に入った休日労働ですので、2,000円×2時間×1.6=6,400円となります。

 

 

  以上、上記5パターンですが、これらの定めはあくまで「最低基準」です。

  したがって、「法定休日ではない休日(上記例では土曜日)に休日の割増賃金率を設定する」「時間外労働に1.25以上の数字を乗じる」などの取り組みは、何ら問題がありません(むしろ労働者へ有利な設定とする努力義務を遂行しています)

 

割増賃金に関する留意点

留意点1 労働時間・休日の適用除外者は、時間外労働・休日労働の適用もありません。

 以前ブログで紹介した、管理監督者などの「労働時間・休日の適用除外者」は、時間外労働・休日労働の適用除外にもなるため、割増賃金率の事象は生じません

   ただし、深夜労働については適用されます(高度プロフェッショナル制度を適用している者を除く)。

 

留意点2 36協定を締結・届出していなくても、割増賃金の支払いは生じます。

 元々「36協定」は、違法である時間外・休日労働を適法にするための手続きですので、締結・届出前に、時間外・休日労働をさせている事実があるのであれば、締結・届出とは関係なく、割増賃金率の支払いは必要です。

  当然、違法な行為をさせていることになるので、締結・届出をしていない場合には、使用者に罰則が適用されます。

 

留意点3 労働者が使用者の許可を受けずに時間外労働などをした場合、労働時間に該当しないと考えられます。

  ただし、使用者が明らかに時間外労働を生じる仕事の量を課したり、使用者が労働者へ黙示の指示などがあった場合は、割増賃金率を支払わなければなりません。

 

 

  割増賃金の計算方法自体は間違いなくても、必要とされる事実を見落とすことがあります。「土曜日が休日労働でないことに気を取られ、実は1週間に40時間を超えて働いていた」「休日労働に、時間外労働の算出をしていた」などです。

 給与担当者などだけに算出を委ねるのでなく、働くみなさまご自身でも、時間外労働の算出ができるよう二重チェックをしていきましょう!

 

 

今日のポイント

自らの割増賃金は、自らで計算できるようマスターしよう!

 

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