昨日までに引き続き、本日も「年次有給休暇」についてです。

 今日は「年次有給休暇」の労働基準法第39条第5項・第6項・第9項です。

「年次有給休暇中」の賃金はどうなっているの?

先に第9項を確認します。

●労働基準法第39条第9項

⑨ 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(その金額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。

 つまり、「年次有給休暇」の賃金は、次の①~③のいずれかから就業規則などで選択されたものでなければなりません。なお選択した①~③の方法は、全労働者に一律に適用しなければなりません

①平均賃金  

過去のブログを参照ください。

②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金  

最も一般的な方法です

③(労使協定により定めた場合には)健康保険法に規定する標準報酬月額の30分の1に相当する額

 健康保険の「標準報酬月額」とは、第1級から第50級までの等級表が設定されており、労働者の月の報酬額に対し、該当する等級の範囲に当てはめることにより、保険料などの計算時に利用するものです。

 例えば、月の報酬が29万円であれば「第22級:標準報酬月額30万」に当てはまります。年次有給休暇の賃金は、その額に30を割ったものですので「1万円」となります。

 

 ちなみに「時間単位」の年次有給休暇の場合の1時間あたりの賃金は、「①~③の額÷時間単位年次有給休暇取得日の所定労働時間数」となります。

 

「年次有給休暇」は、いつ取得しても良いの?

●労働基準法第39条第5項

⑤ 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

 まず、労働者の請求する時季に、年次有給休暇を与えなければなりません。

 したがって、原則としては、「年次有給休暇」は、いつ取得しても構いません。

 

 ちなみに、年次有給休暇の労働者の利用目的も、使用者は干渉してはなりません。労働者は 自由に年次有給休暇を利用することができます。

 

 しかし、労働者から請求された時季に年次有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、他の時季に与えることができます。

 したがって、使用者にある程度の裁量が与えられることにはなりますが、「通常の配慮をすれば代替勤務者を配置できることが客観的に可能な状況にある場合」などは、事業の正常な運営を妨げる場合にあたるということはできません。

 

労使協定締結により、使用者は計画的に有給休暇を付与することができる。

●労働基準法第39条第6項

⑥ 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。

 例えば、有給休暇が20日あれば「5日を超える部分」、つまり15日分について、使用者が計画的に年次有給休暇を与えることができます

 残り5日分については、労働者が請求する時期に与えなければなりません

 ただし、この定めを行うには、使用者と過半数労働者代表(または過半数労働組合)との「労使協定」が必要となります。

 

 

今日のポイント

原則「年次有給休暇」はいつでも取得できるが、使用者が時季を定めることができる時もある。

 

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