昨日は「休業手当」について取り上げましたが、今日は「賃金」に関連する労働基準法の3つの条文についてお伝えします。

労働者が請求すれば、給料日前なのに、賃金が支払われる時がある!?

 労働基準法第25条「非常時払い」についてです。

 

●労働基準法第25条

(非常時払)

第二十五条 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

 

 「非常の場合」とは、法律で記載がある「出産」「疾病」「災害」そして厚生労働省令で定める「結婚」「死亡」「やむを得ない事由により1週間以上にわたり帰郷する時」が該当します。

 なお、賃金が支払われる『本人』が直接「非常の場合」に該当した時だけでなく、生計を維持する者が「非常の場合」に該当する時を含みます

 

 また「既往の労働」ですので、あくまで「既に労働をしている日」の賃金が対象です。「労働を予定している日」は対象になりません。

 

出来高がなかったけど・・・「出来高払い制」で給料はもらえるのか?

労働基準法第27条「出来高払い制」についてです。一般的に「歩合給」ともいわれるものです。

 

●労働基準法第27条

 

(出来高払制の保障給)

第二十七条 出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

 つまり「労働時間に応じた、一定額の賃金は保障」されます。

 ちなみに厚生労働省の通達では「通常賃金の6割以上は保障されるように」としています。

 

「最低賃金」の内容を知っておこう!

労働基準法第28条「最低賃金」についてです。

 

●労働基準法第28条

(最低賃金)

第二十八条 賃金の最低基準に関しては、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)の定めるところによる。

 これだけです・・。ですので、「最低賃金法」に基づき、ポイントを挙げていきます。

 

ポイント1 「最低賃金」は地域別特定の2つがある

「地域別最低賃金」は、都道府県ごとに定められているものです。なお、令和2年度について、最低賃金の最高額は東京都の「1,013円(1時間あたり、以下同様)」、最低額は「792円」です。

 

「特定最低賃金」は、特定産業の関係労使の任意の申出により定められた額です。例えば、「千葉県の鉄鋼業」の最低賃金額は「995円」です。

 

 そして「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」は『高い金額』が適用されます。したがって、「千葉県の鉄鋼業」の場合、「千葉県」の地域別最低賃金額は「925円」ですので、金額が高い特定最低賃金である「995円」が適用されます。

 

ポイント2 最低賃金額に達しない賃金は「無効」

 就業規則・労働契約などで、最低賃金額に達しない賃金を定めた場合は、最低賃金と同様の定めをしたものとみなします

 

ポイント3 最低賃金減額の減額の特例

 次の①~④のいずれかに該当する場合、都道府県労働局長の許可を受けた時は、最低賃金額は一定の減額率によって、減額されます。

①精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者

②試みの使用期間中の者(最長6カ月を限度)

③認定職業訓練を受ける者

④軽易な業務又は断続的労働に従事する者

 

ポイント4 罰則

①使用者が最低賃金を支払わなかった場合  

 50万円以下の罰金

 なお「特定最低賃金」を支払わなかった場合には、労働基準法の全額払いの原則にかかる罰則として「30万円以下の罰金」

②労働者が「最低賃金法」に違反する事実があったため、その事実を都道府県労働局長などに申告をしたが、使用者が「申告をしたことを理由として」労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをした場合

6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

 

「賃金」については今日で終了です。明日からは「年次有給休暇」がテーマです!

 

 

今日のポイント

会社が設定した「時給額」の根拠を知る上でも、自らが住む都道府県や自らの職種の「最低賃金」は知っておこう!

 

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