今日からのテーマは「賃金」です。このテーマも特集すれば1か月できるほどの内容です。

 「賃金体系」「手当」「賞与」など、いろいろ広がりますが、こちらも「労働時間・休憩・休日」の時と同様に、今回は「就業規則~基礎編~」ですので、「これだけは働く方に知っておいてもらいたい!」と思う内容に絞ってお伝えさせていただきますので、ご了承ください。

 

賃金とは?

 まず「賃金」が法律でどのように定義づけされているかを確認しましょう!労働基準法第11条です。

 

●労働基準法第11条

第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

 

 法律の通りですが、賃金は「労働に対して、使用者が支払うすべてのもの」です。「通勤手当」なども該当します。

 労働の対償ではない「出張旅費」「祝い金」「チップ」などは、原則、該当しません。

 ただし、「祝い金」などの恩給的なものは「就業規則などであらかじめ支給条件が明確」にされていれば、臨時の賃金に該当します)。

 

賃金支払い5原則とは?

 こちらも労働基準法を確認しましょう!労働基準法第24条の「賃金支払」についてです。

 

●労働基準法第24条

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

 

 この条文の中に5原則が記載されており、抜粋すると「①通貨で」「②直接労働者に」「③その全額」「④毎月一回以上」「⑤一定の期日」の以上5原則です。

 

それでは、5原則それぞれの「例外」を確認していきます。

「原則1 通貨払い」の例外

条文に記載があります

①法令に定めがある場合 現在定めはありません。

②労働協約に別段の定めがある場合 「労働協約」については以前のブログをご参照ください。労働協約の適用を受ける労働者に限ります。

③厚生労働省令で定めるもの 労働者の同意が必要です。金融機関の預貯金口座への振込みなど。

 

「原則2 直接払い」の例外

条文に記載はありませんが、通達で「使者」への支払いは認められています。「使者」とは、本人の意思表示を単に伝達する者で、代理などの権限はありません。

 

「原則3 全額払い」の例外

条文に記載があります

①法令に別段の定めがある場合 税金・社会保険料の控除など

②当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合 労使協定の締結のことです。

 

「原則4 毎月1回以上払い」の例外

「原則5 一定期日払い」の例外

条文に記載があります

①臨時に支払われる賃金

②賞与

その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金 「1か月を超える期間の出勤成績によつて支給される精勤手当」「1か月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当」「1か月を超える期間にわたる事由によつて算定される奨励加給又は能率手当」

 

 以上、賃金支払いの「5原則」と「その例外」です。

 日常的に行われている「賃金の銀行口座振込み」「賃金の社会保険料控除」などは法律上では例外の取り扱いとなります。

 

 また年俸制の場合は、1回で全額払うのではなく、毎月1回以上に分けて支払うことが必要です。

 会社の経営上問題がなければ、これらの原則は通常通り行われると思いますが、経営が厳しくなると「全額払い」「毎月1回以上払い」「一定期日払い」などが難しくなることもあるかもしれません

 これらの原則は、法律上当然に遵守すべきだということを知っておきましょう!

 

 

今日のポイント

「賃金支払い5原則」が守られないことがあるかもしれない・・・だからこそ「5原則」は働くみなさんも知っておこう!

 

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