パワハラで離職を余儀なくされた時・・・「雇用保険」のポイント

 昨日までは「労働者災害補償保険法」の内容でしたが、今日は、パワハラを受けたときに「離職を余儀なくされた時」です。

 この際に、新たな職に就くための手当は「雇用保険法」になります。

 雇用保険法の手当を受けるには、雇用保険の被保険者であることが前提です。所属している事業所が雇用保険に適用されていれば、原則、雇用保険の被保険者です。

 しかし、「雇用保険が適用されない事業(一定の要件に当てはまる個人経営の農林水産業などは任意加入)に従事されている方」や「適用除外に該当する方(1週間の所定労働時間が20時間未満など)」などは対象となりませんので、ご注意ください。

 それでは、「雇用保険」のポイントを確認していきます。

 

ポイント1 パワハラを事由とした離職者は「特定受給資格者」となる場合がある

 一般の離職者よりも条件が有利になる場合があります

 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由にあるものは除く)や予期しない賃金の大幅な低下等の理由に該当すれば「特定受給資格者」に該当しますが、その理由の1つに事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたことによって離職した者とあります。

 例えば、特定個人を対象とした配置転換又は給与体系等の変更が行われた場合が該当するとしています。

 

 ただし「管理者が、部下の職務上の失態があった場合等に注意、叱責することは通常あり得ることから、そのことだけをもってはこの基準に該当しない」としていますのでご注意ください。

 なお、特定受給資格者に該当しない場合でも、一般受給資格者の内容には該当します(ただし、次の「ポイント2」で示す有利な措置はありません)。

 

ポイント2 「特定受給資格者」に該当した場合の有利な措置

 ここでは、3つほどご紹介します。

 

1つ目は、支給要件です。

 一般被保険者は「離職の日以前2年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算して12カ月以上であること」が要件ですが、もし特定受給資格者がその要件に該当しなければ「離職の日以前1年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算して6カ月以上であること」に該当すれば対象になるということです。

 「1か月の間に、賃金支払の基礎となった日数(労働した日・休業手当が支給された日・有給休暇など)が、11日以上ある月」または「賃⾦⽀払の基礎となった労働時間数が80時間以上の月」であれば、その月は「被保険者期間」1か月分としてカウントされます。

 つまり、「被保険者期間」にカウントされない月が、2年間(または1年間)に半分を超えると、支給要件に該当しないということです。ただし、2年間(1年間)のうちに、疾病又は負傷、出産などで休業があった期間は、その分延長(算定対象期間が延長)されます。

 以上です。とても分かりにくいと思いますが・・・

 

2つ目は、所定給付日数です。

 所定給付日数とは、基本手当の支給の限度となる日数のことです。

 それが一般の受給資格者よりも支給される日数が多いということです。例えば、20年以上算定基礎期間(雇用保険の被保険者であった期間)がある方の場合、一般の受給資格者は全年齢「150日分」ですが、特定受給資格者は45歳以上60歳未満で最大「330日分」です。

 

3つ目は、離職理由による給付制限が解除されます。

 「自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された方」または「正当な理由がなく自己都合退職された方」は、1カ月以上3カ月以内の間(令和2年10月以降に正当な理由がなく自己都合退職した方は、原則2カ月間)は、原則、基本手当は支給されません。

 「特定受給資格者」は、その制限が解除されます。

 

ポイント3 基本手当(失業手当)の受給の流れ

 概要を大まかにお伝えします。

 

 離職した労働者に関する「離職証明書」を事業主が必要書類とともに、公共職業安定所へ提出します。

 それを公共職業安定所が確認すると、離職者へ「離職票」が交付されます。

 そして、離職者は「離職票」を自らの居住地域の公共職業安定所へ出頭し「受給資格者証」の交付を受けます。

 そして、認定日(4週間に1回ずつ直前の28日の各日)に、受給資格者(離職者)は公共職業安定所へ、期間中の求職活動などの内容を記載した「失業認定申告書」「受給資格者証」とともに提出し、『基本手当』を受けます。

 

 なお、期間中に傷病により求職活動できない場合は、活動できない期間が継続して15日未満であれば証明書により基本手当を受けることができます。

 継続して15日以上であれば、基本手当は受給できませんが、「傷病手当」という形で受給されます。

 さらに継続して30日以上であれば、傷病手当を受けるか、または、受給期間の延長を申し出て基本手当の受給を先延ばしにすることもできます。

 

 ただし、傷病などの事由がなければ、当然のことながら、基本手当は求職活動をすることが前提で支給されるものです。

 

ポイント4 基本手当(失業手当)の支給額

 離職日に60歳未満の方は「賃金日額の50%~80%」、離職日に60歳以上65歳未満の方は「賃金日額の45%~80%」です。

 賃金日額(対象者の1日あたりの賃金に相当するもの)が低いほど、パーセンテージは高くなります。なお賃金日額が2,574円以上5,030円未満であれば「賃金日額の80%」です。なお、賃金日額には下限額・上限額があります(厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和3年2 月1日から~」

 

 この1日当たりの金額が、最大で所定給付日数分支給(社会情勢などの理由により、延長される場合も有)されますが、就職をした時点で打ち切られます。

 しかし、就職後も、早い段階で就職するなどの条件を満たせば「就業手当」「再就職手当」などの違う内容での支給もありますので、やはり早い段階で就職ができれば、それに越したことはありません

 

 雇用保険の内容は以上となります。

「見慣れない言葉」や「似たような言葉」がたくさんあり複雑ですよね・・・。現時点では「そうなんだ~」ぐらいで良いと思います。

 

 「パワハラの被害にあったら」は今日で終了です。明日以降は、2月残りの4日間で「パワハラ」の内容をまとめていきたいと思います!

 

 

今日のポイント

 パワハラにより新たな環境での仕事を余儀なくされる時は、「雇用保険」の支給は有利な措置となる場合がある!