「要件にすべて該当した方(昨日のブログ)」が補償を受ける内容 

 昨日に引き続き「労災(労働者災害補償保険)」の内容です。

 今日は、労災認定されたときに、どのような補償がされるかという内容です。

 なお、この補償内容は「昨日ブログで記載した3つの要件にすべて該当した場合」に補償されるものですので、ご注意ください。

  それでは、主に考えられる補償内容4つをご紹介します。

 

補償内容1 療養補償給付

 被災労働者が指定病院等において療養を受ける場合に、現物給付(無料)として行われるものです。

 ここで、注意点ですが「指定病院等」での療養でなければ無料になりません

 なお「指定病院」とは「社会復帰促進等事業として設置された病院または診療所(労災病院等)」または「都道府県労働局長の指定する病院、診療所、薬局又は訪問看護事業者」です。療養する医療機関が「指定病院」かどうかを必ず確認しましょう。

  所定の請求手続きをすれば、医療費などは無料です。なお、緊急性を要する治療などが必要で、その病院が指定病院ではなかったなどの相当の理由があれば、治療費を自己負担後に、療養の費用を現金で支給されることもあります

  なお、「医師の同意がない柔道整復師の施術」など、一部該当しないものもありますので、併せて注意しましょう。

 

参考資料:厚生労働省「療養(補償)給付の請求手続き 給付の内容

 

補償内容2 休業補償給付

  次の4つの要件をすべて満たした時に支給されます。

 

①労働者が、業務上の事由による負傷又は疾病によって、療養していること  

②その療養のため労働することができない(労働不能である)こと

③労働することができないために、賃金を受けない日があること   

④通算して3日間の待機期間を満たしていること

 

 注意点を挙げていきます。まず「療養」しているだけでは該当せず、「療養のために労働できないこと」が必要です。

 なお、この労働不能は、一部の時間労働できないこと(一部の時間だけ労働すること)も含まれます。賃金についても同様で、一部の時間だけ賃金を受けることができなければ該当します。

 ④に記載がある「3日間の待機期間」は、賃金を受けることができなくなった日の第4日目から支給されるということです。

 

 支給額ですが、原則、「給付基礎日額(対象者の1日あたりの賃金に相当するもの)の6割」及び「特別支給金としてさらに2割」が追加されます。つまり、みなさまの1日当たりの賃金のおおむね8割が支給されることになります。

 

  なお、療養開始から1年6カ月が経過すると、年齢階層別に最低限度額・最高限度額が適用されます。

 また、一部の時間だけ労働した日はその支払わている分は控除されますが、労働できない時間も含め一定額以上(平均賃金の60%以上)の賃金が会社から支払われるのであれば休業補償の給付はされません

 

参考資料:厚生労働省「休業(補償)給付の請求手続き 給付の内容

 

補償内容3 傷病補償年金

 先に概要をお伝えしますと「療養が長期間(1年6カ月以上)にわたる場合で、その傷病が重い時に、労働基準監督署長の職権により、年金支給を行う」ものです。

 

  それでは、内容を確認していきましょう。

 支給要件は、療養の開始後1年6カ月を経過した日又は同日後において、「その傷病が治っていないこと」及び「その傷病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級(第1級~第3級)に該当すること」です。そして、その決定は、傷病の状態などにより、あくまで労働基準監督署長の職権により決定されるのであって、労働者の請求ではないということです。

 

 支給額ですが、1年あたり、第1級「給付基礎日額(対象者の1日あたりの賃金に相当するもの)×313日分」、第2級は「277日分」、第3級は「245日分」となります。なお、給付基礎日額については、年齢階層別に最低限度額・最高限度額があります。

  また一時金として「傷病特別支給金」が、さらに「特別給与(賞与)を365で割った金額(または他の基準による算定額)」をそれぞれの等級にあたる日数分を掛けた金額として「傷病特別年金」が、追加支給されます(ただし「傷病特別年金」は中小企業主等の一部の対象者は該当しません)。

 

 さらに注意点を挙げていきます。まず、傷病補償年金受給者は、休業補償給付は支給されません。療養が長期にわたることから、年金支給という方法に切り替えるという意図があるからです。

  また「業務上の傷病に係る療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受給している場合」または「その日以後に傷病補償年金を受給することになった場合」は解雇制限が解除されます。使用者が打切補償を支払ったと同様の解釈をされるからです。

 

参考資料:厚生労働省傷病(補償)年金の請求手続き 給付の内容

 

補償内容4 障害補償給付

  「業務上の事由による傷病が治って、身体に障害が残った際に、障害の程度が厚生労働省令で定める障害等級(第1級~第14級)に該当した場合に支給」されます。

  ここでいう「治った」は、症状が固定した状態を含みますので、例えば「休業補償給付」を受けている人の負傷又は傷病が治り(症状が固定し)、障害が残ったのであれば「障害補償給付」に切り替わります。

 

  支給額は、第1級~第7級は「年金」による支給です。第1級の「給付基礎日額×313日分」から第7級の「131日分」が年金として支給されます。

 

  第8級~第14級は「一時金」による支給です。第8級の「給付基礎日額×503日分」から「第14級の56日分」が一時金として支給されます。

 

  こちらも、年齢階層別に最低限度額・最高限度額の適用、また「障害特別支給金」「障害特別年金・一時金」も追加されます(ただし「障害特別年金・一時金」は中小企業主等の一部の対象者は該当しません)。

 

参考資料:厚生労働省障害(補償)給付の請求手続き 給付の内容

 

 

 以上が、パワハラで療養・休業などを余儀なくされたときに、主に支給されると考えられる給付内容です。

 とても複雑ですよね・・・まずは細かい内容は気にせず、大まかに「このような給付があるんだ~」ぐらいでイメージいただけたらと思います!

 

 

今日のポイント

 要件に該当すれば、パワハラなどの業務上の事由による傷病は、労働者災害補償保険法により療養・生活に必要な金額が補償される。