「職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応」の内容

  今日は、厚生労働省指針にある「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」にある事業主の講ずべき4つの措置の3つ目です。

 

「職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応」です。厚労省の啓発資料「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕ 」(厚生労働省ホームページ)に記載がある概要は次のようなものです。

●職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

・事実関係を迅速かつ正確に確認すること。

・事実関係の確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に⾏うこと。

・事実関係の確認ができた場合には、⾏為者に対する措置を適正に⾏うこと。

・再発防止に向けた措置を講ずること。

  主には、この4項目ですが、ここは大事なところなので、1日につき1つずつ確認していきます。

 今日は「事実関係を迅速かつ正確に確認すること」です。

 

「パワハラの事実関係を迅速かつ正確に確認すること」で留意すべきこと

   厚労省指針の中では「迅速な対応」「相談者と行為者間の主張の不一致がある場合に、第三者からも事実関係を聴取する等の措置」「組織内で解決困難な際は、外部機関に解決を委ねること」などが明記されています。まずは、これらの内容を遵守しましょう!

  それでは、私の考えを含め、留意点を挙げていきます。次の3つのことです。

 

留意点1 相談をした被害者へ謝意を伝える

 被害者自身が解決をしたいから相談しているのですが、相談をするということはとても「勇気」が必要なことです。

 その後の展開によっては、被害者に更なるリスクが生まれることも、ゼロではないからです。

 また、相談をすることは、それだけで組織のパワハラ防止に大きく貢献しているわけです。

 まずは、被害者が解決に向け、第一歩を踏み出したことに、敬意を払い、感謝の意思を伝えましょう!

 

留意点2 被害者の要望は尊重する。ただし、事実事実として捉えることも必要

 傾聴に徹し、被害者の感情に寄り添いながら、事実を丁寧に確認していきましょう。そして原則として、相手の要望を尊重しましょう。

 

  パワハラとして強い被害を受け、就業規則などに基づいて強い処分を求めているのであれば、その要望を尊重を受け入れるのは当然のことですが、場合によっては被害者が処分を求めていない場合もあります

 「加害者へ処分をすることが、解決との因果関係がないと考えている場合」「相談を通じてパワハラを受けたことへの認識が変わっていった場合」などです。

 

 しかし、状況によっては、被害者の要望とは異なり、事実に基づき加害者へ処分しなければならない場合もあると思います。

  「加害者が処分を受けることで、被害者がパワハラを今まで以上に受けてしまうのではないかという恐れを抱いている」「加害者が明らかに強い処分を受けるべきパワハラをしているのに、被害者が処分を望んでいない」などの場合です。

 その際は、「リスクを回避するために処分が必要なこと」「処分後も被害者を組織として守りつづけること」「組織がパワハラ防止する上で処分が必要なこと」などの理由を的確に伝えていきましょう。

 

   ただし、それでも尊重すべきは被害者の要望ですので、その要望に丁寧に寄り添いながら、必要な解決策を提案していきましょう。

 

留意点3 ただ『事実だけに』向き合おう!

 被害者の話を聴いたら、事実関係を把握していきます。

 加害者や第三者へ話を聴くなどです。ただし、パワハラの内容によっては、第三者へ聴くことが望ましくない情報もあると思うので十分注意しましょう。

 

 そして、ここでのポイントは、タイトルにある、ただ事実だけに』向き合うことです。

以前のブログで「『指導』は『事実だけ』を伝える」と紹介しましたが、『事実だけに』向き合うことはとても難しいことです。

 

 『先入観』『被害者への思いなどは一旦頭の片隅に置いておくことです。

 「あの人だったら、パワハラをしているだろう」「パワハラなんて許せない」などということを、一旦頭の片隅に置いておくことです。

 

 なぜなら、誤った判断につながるからです。

 加害者がパワハラに至っていないことも十分考えられるからです。

 

更なる重要なポイント!!

 それは「相談を受ける人」と「事実を調べる人」を別々にした方が良いということです。

 

 「相談を受ける人」は、カウンセラーなどの専門性を持った方が望ましいでしょう。

 「相談を受ける人」が、「事実を調べる」役割を兼ねてしまうと、その後の展開を考えてしまい、被害者に寄り添うことに力を注ぐことができなくなるからです。

 

 「事実を調べる人」は、職位が高い方、社労士などの外部の第三者が望ましいでしょう。

  被害者または加害者にとって、要望とは違う結果になった際に、その不満を受け止める状況も想定しておいた方が良いと思います。

 

 「事実を調べる人」が明確になることで、「被害者に寄り添う存在もまた明確になる」からです

 

 

今日のポイント

 加害者へ処分を下すことも重要な行為であり、だからこそ「事実関係の確認」は正確に行う必要がある。