「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」の内容

 今日は、厚生労働省指針にある『事業主の講ずべき4つの措置』の2つ目です。「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」です。

 厚生労働省指針「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」に基づいた啓発資料「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕」厚生労働省ホームページの中で、以下のように記されています。

●相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

・相談窓⼝をあらかじめ定め、労働者に周知すること。

・相談窓⼝担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。 パワーハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、パワーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応すること。

 そして、更に、次のような記載があります。

●相談窓口の設置

 相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定め、労働者に周知すること

(取組例)

・相談に対応する担当者をあらかじめ定めること  

・相談に対応するための制度を設けること  

・外部の機関に相談への対応を委託すること

(ポイント)

・「窓口をあらかじめ定める」とは、窓口を形式的に設けるだけでは足りず、実質的な対応が可能な窓口が設けられていることをいいます。

・このためには、労働者に対して窓口を周知し、労働者が利用しやすい体制を整備しておくことが必要です。

・相談は面談だけでなく、電話、メールなどの複数の方法で受けられるよう工夫しましょう。

・相談の結果、必要に応じて人事担当者および相談者の上司と連絡を取るなど、相談内容・状況に即した適切な対応がとれるようフォローの体制を考えておきましょう。

 このような形です。

 

 そこで今日のテーマは「実質的な相談窓口」です。

 

「実質的な窓口」を実現するために留意すべきこと

 相談窓口の担当者となるべき人は「会社の中でも利害関係を有さない人」もっと良いのは「外部の人」だと思います

 内容やプライバシー保護の観点から、私自身はぜひそのようにお願いしたいのですが、それはあくまで理想であり、現実的に考えて、どこまで「ハラスメント窓口」に重点を置くというのは難しいと感じる方もいると思います。日常業務でもなく、外部の人にお願いするにもお金が掛かります。

 そこで、今日は私が考える「実質的な窓口」を実現するための「留意すべきポイント」を挙げさせていただきます。

 このポイントを踏まえながら、組織として、どこまで実現できるかを検討いただければ幸いです。

 

留意点1 パワハラを受けたときの心理状況を想像してみる

 部下から上司への「逆パワハラ」もありますが、上司から部下への典型的パワハラをまずは考えてみます。

 仮に、担当相談窓口にその上司と利害関係がある上級管理者などの場合、相談するかということです。

 相談窓口担当者が、中立性や強い意志を持った信頼できる方であれば問題ないと思います。

 

 しかし、そのような中立性を持ち続けることができる人は限られていると思うので、毎年コロコロ変わるのは望ましくないと思います。

 1番の理想を言えば、組織のラインから外れている、独立的な部署に所属している専門性を持った人材が理想だと思います(そんな都合良くはいないかもしれませんが・・)

 

留意点2 いろいろな「ハラスメント」を踏まえる

 つまり、相談窓口担当者によっては、相談者が話しにくい内容もあるかもしれないということです。

 セクハラ・マタハラを考えると担当者は女性が良いのかと言えば、そうとも限りません。

 特に、セクハラは、男性から女性に対してのイメージが強いですが、女性から男性に対し、また同性同士だってあるわけです。

 そのような状況に対応するため、「衛生委員会などとリンクさせる」「専門委員会の立ち上げ」などで複数名が相談担当を担う方法も考えられます。

 

留意点3 「世代間ギャップ」なども踏まえる

 大まかな傾向ですが、年齢が若くなればなるほど、とても神経が細やかな方が多いと思います。その細やかな面を生かし、経験ある職員以上の能力を発揮することも多々あります。

 そうした若い方たちがパワハラを受けたときに、窓口担当者が役職の高い方であった場合、利害関係を意識せざるを得なくなり、相談するハードルは想像以上に高いと思います。

 言い換えれば、利害関係がほとんどない立場の方が担当者でなければ、本当のことを話すことができないかもしれません。

 

 そのようなことを踏まえれば、ある程度の若い年齢の方を相談担当者にすることも良いかもしれません。年齢を問わず、被害者が真実を落ち着いて話すことにつながるかもしれません。

 ただし、担当者に専門性を身に着けてもらうことは必須ですし、「担当者に管理者を付ける」「経験ある職員と複数名対応にする」など、担当者の立場を守ることができる体制が絶対条件です。担当者が板挟みになってしまったら元も子もないからです。

 

 以上のようなことを想定してみましたが、大切なことは、相談窓口が形式化・形骸化しているのでは何の意味もなくなってしまいます

 少しでも「実質的」な窓口になるには、組織としてのきめ細やかな配慮が必要になってきます。

 

 

今日のポイント

 相談者が、会社の中での利害関係を想起させない「相談窓口」を実現させよう!