「パワハラをしない」思考段階を実践してみよう!

 それでは、昨日のブログの内容を生かし、対象を部下に想定し「解決」のプロセスを説明します。なお、部下のところは「同僚」「上司」などと読み替えても大丈夫です。

 

 まずは、昨日紹介した、4つの思考段階です。

1 問題と考えられる原因を列挙する

2 列挙した内容に仮説を立てる

3 必要だと思う仮説から実践し、部下へ寄り添う

4 結果を検証する

 

 それでは、以前に引き続き「遅刻が多い部下」を想定してみましょう。

 

段階1 問題と考えられる原因を列挙する

 いきなりですが、このプロセスが最も重要です。

 一番理想的なのは、相手へ直接聞いてみることです。

 「実は、夜どうしても眠れないんです・・」と言えば、それがここで言う『問題』です。

 ただし、本人が隠していたり、気づいていないことなどの方が、実際に多いと思いますので、その場合は、考えられることをたくさん列挙してください。

 

考えられる部下の「遅刻の理由」

・全体的にだらしない  

・仕事に対しての意識が低い  

・学生生活が抜けていない    

・他に遅刻が多い従業員がいる  

・職場全体で昼休みの時間が守られていない

・残業が多い  

・実は、正直で真面目すぎる  

・一人で悩みを抱え込んでいる  

・睡眠障害である  

・1歳のこどもがいる  

・親が介護保険サービスを受けている

 

 一旦これぐらいにします。

 ポイントは、俯瞰的な視点(職場全体で昼休みの時間が守られていない等)や肯定的な視点(実は、正直で真面目すぎる等)を加えることです。

 そして、何より特定の視点に偏らないことです。

 また、この段階では主観的な視点も大事ですので(だらしない等)、ありのままの気持ちで大丈夫です(もちろん、相手に言ってはいけませんが)。

 さらに、なぜこのプロセスが重要としている理由ですが、「たくさん列挙することで、いろいろなことに気づくことができるから」です。その内容は「4 結果を検証する」で説明します。 

 

段階2 列挙した内容に仮説を立てる

 原因に対する改善方法の仮説を立ててください。いくつか挙げると・・

 

考えられる部下の「遅刻の理由」に対する仮説

 

・学生生活が抜けていない 

→ 遅刻をした時に指導を繰り返すことにより、少しずつ改善させる。

 

・職場全体で昼休みの時間が守られていない 

→ 就業規則遵守をあらためて徹底させることで、本人の時間に対しての意識を高める。

 

・残業が多い 

→ ノー残業デイを決めて効果を確かめる。

 

・正直で真面目すぎる 

→ 仕事の成果をみんなの前で褒めることで、自信をつけさせる。

 

・睡眠障害である 

→ 本人と話す時間をつくり、それを打ち明ければ、医療受診などを勧める。

 

・親が介護保険サービス 

→ それとなく家庭での介護を労う。

 

 ポイントは、相手の長所に焦点を当てる取り組みをぜひ考えてください(ここでは「正直で真面目すぎる」です)

 

段階3 必要だと思う仮説から実践し、部下へ寄り添う

 声かけの内容や実践するタイミングなど、より詳細に実践していきましょう!

 

「部下の遅刻」を解決するため、仮説に対する実践

 

・学生生活が抜けていない 

→遅刻をした時に指導を繰り返すことにより、少しずつ改善させる。 

就業規則を守ることを、少し強く指導をした。

 

・職場全体で昼休みの時間が守られていない 

→就業規則遵守をあらためて徹底させることで、本人の時間に対しての意識を高める。

朝のミーティングで昼休みの時間遵守を徹底するよう伝えた。

 

・残業が多い 

→ノー残業デイを決めて効果を確かめる。

上級管理職に事情を話し、「ノー残業デイ」の許可を取り、導入した。

 

・正直で真面目すぎる 

→仕事の成果をみんなの前で褒めることで、自信をつけさせる。

担当している1か月後の重要なプロジェクトが終わったら、最大限の賛辞を伝えた。

 

・睡眠障害である 

→本人と話す時間をつくり、それを打ち明ければ、医療受診などを勧める。

定期面談で、困っていることがあれば一緒に解決できるように寄り添い続けることを約束した。

 

・親が介護保険サービスを受けている 

→それとなく家庭での介護を労う 

まだ聞く場面がない⇒保留

 

 ここで補足ですが、以前のブログで「『指導』と『解決』を混同しない」とお伝えしましたが、同時に「例外的に『指導』=『解決』の時もある」ともお伝えしました。ですので、「指導」をすることも一つの有効な「解決」方法です(「解決」は「指導」だけではないということです)。

 そしてポイントは、必要なことは迅速に行う必要がありますが、あまり多くのことを一斉にしないことです。

 本人も周りも意識しますし、何が効果があったのかも分かりにくくなるからです。

 

4 結果を検証する

 ひとつずつ丁寧に検証していきましょう!

 

「部下の遅刻」を解決するため、実践に対する検証

 

・学生生活が抜けていない 

→就業規則を守ることを繰り返し伝えた 

指導そのものには効果がなかったようだ。

 

・職場全体で昼休みの時間が守られていない 

→朝のミーティングで昼休みの時間遵守を徹底するよう伝えた 

徹底後、本人の表情が柔らかくなったような印象。

 

・残業が多い 

→上級管理職に事情を話し、「ノー残業デイ」の許可を取り、導入した。

残業は少し減ったが、まだ他の従業員と比較すると残業は多い。遅刻との因果関係は不明。

 

・正直で真面目すぎる 

→担当している1か月後の重要なプロジェクトが終わったら、最大限の賛辞を伝えた 

プロジェクトから2週間経ったが、遅刻はまだない。

 

・睡眠障害である 

→定期面談で、困っていることがあれば一緒に解決できるように寄り添い続けることを約束した 

「大丈夫です」と言われ、特に何も言ってこなかった。

 

 仮に以上のような検証から、まとめていくと・・

 

検証結果まとめ

・遅刻の原因は、仕事のプレッシャーが大きかったのではないか。

・真面目な性格からも、昼休みの時間が守られていないにも関わらず、自分だけが遅刻で指導されることに違和感を感じていたのではないか

・遅刻が、本人の怠惰から生じている可能性は低いのではないか

・遅刻が再発する可能性もあり、その原因がはっきりしたわけではない。引き続き、見守る必要がある。

 

 このような感じです。今回は仮定の話ですので、ここまで明確に検証できるとは限らないかもしれませんが、検証が的確にできるポイントは「いろいろなことに気づくこと」です。

 

 そして「いろいろなことに気づくこと」には、「1」の「問題と考えられる原因を列挙する」が多角的にできているかということです。「指導した後に、仕事のパフォーマンスに影響があったのか」「遅刻した日としない日で、何か仕事に変化があるのか」「表情が明るい時に何か理由があるのか」など、多角的に捉えていればいるほど、いろいろなことに気づくはずです。

 

なぜ、この思考段階を踏むのか?

 以上が「問題の解決」のプロセスです。ただ、これって「パワハラ」と関係があるの?と思われるかもしれません。

 何が関係があるのか?

 それは、このプロセスを踏むことが、相手の悩みに寄り添っていることを示しているからです。

 そして、相手が「寄り添ってもらえている」と思えば、信頼感が生まれ、パワハラにつながるようなことは極めて低いと思います。これだけのことを上司が配慮すれば、必ず相手へ伝わるはずです。

 でも、実際に上司の方も忙しくて、そこまで手が回らないかもしれません。忙しいのであれば、キャリアを積んだ部下にその役割を担ってもらえれば良いと思います。管理職の仕事は、職場のマネジメントであり、必ずしもすべてを一人でやることではないからです。

 

 

日のポイント

 最終的に問題を解決できるのは、結局は本人でしかない。本人へ寄り添うことに徹しよう!